2017 Fiscal Year Research-status Report
セレノプロテインPを介した脂肪酸によるインスリン抵抗性回復機序の解明
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16K09739
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹下 有美枝 金沢大学, 附属病院, 助教 (40507042)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘパトカイン / インスリン抵抗性 / 脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)EPAがSREBP-1cとSepp1プロモ-タ-への結合に及ぼす影響をChIP assayにて確認したところ、EPAによりSREBP-1cとセレノプロテインPプロモーターDNAとの結合が減弱していた。この結果はEPAがSREBP-1cの切断だけでなく、セレノプロテインPプロモ-タ-の結合も抑制することを示していた。(2)多価不飽和脂肪酸がAMPKを活性すること、活性化されたAMPKはSREBP-1cを直接リン酸化し不活性化することが報告されている。そこでEPAによるセレノプロテインP遺伝子発現抑制にAMPK経路を介するか検討したところ、AMPKドミナントネガティブを処置した細胞でも、EPAによるSepp1遺伝子発現抑制が認められたことから、この抑制はAMPK pathway非依存的であることを示した。(3)EPAによるセレノプロテインP抑制効果は、EPA処置後12時間後より認めている一方で、Srebp-1、Fasn遺伝子発現はEPA処置後3時間と早期から認めており、経時的な差があることが明らかになった。この結果から、経時的な差が起こる原因についてFoxO1に注目した。我々は以前、Foxo1をノックダウンすることでセレノプロテインP発現遺伝子量が減少することを報告(H.takayama et al, J Biol Chem 2014)しており、FoxO1がSepp1発現を正に制御することを示していた。そこで、EPAがFoxO1遺伝子発現量に影響を与えるか検討した。EPAはFoxo1遺伝子発現を誘導した。この結果から、EPAはFoxo1を介してSepp1遺伝子発現を増加させるのではないかと推測し、Foxo1のsiRNAを用いて評価した。Foxo1遺伝子をノックダウンするとEPAによるセレノプロテインP発現遺伝子抑制が早期の段階から顕著に認めていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肥満・2型糖尿病モデルマウスを用いてPA及びEPAを投与し、脂肪酸がSeP発現の制御を介し、全身のインスリン抵抗性に与える影響と機序の解明を行う予定であった。しかしながら、培養実験において、EPAがSREBP-1cの核移行の抑制、不活化を介して肝細胞でのSeP発現を抑制する機序の解明に時間がかかったため、マウスへの脂肪酸投与が肝臓SEPP1発現およびインスリン抵抗性に及ぼす作用が明らかにはなっていない。 一方で、ヒトへの脂肪酸投与が血中SePレベルおよびインスリン抵抗性に及ぼす作用についてはエントリ-が順調にすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.マウスへの脂肪酸投与が肝臓SEPP1発現およびインスリン抵抗性に及ぼす作用(動物実験) 肥満・2型糖尿病モデルマウスを用いてPA及びEPAを投与し、脂肪酸がSeP発現の制御を介し、全身のインスリン抵抗性に与える影響と機序の解明を行う。 2.ヒトへの脂肪酸投与が血中SePレベルおよびインスリン抵抗性に及ぼす作用(臨床研究) 脂肪肝を有する患者のうち、2型糖尿病および耐糖能異常を有する患者と有しない患者を用いて、血液中の脂肪酸と、SeP濃度、インスリン抵抗性との関連を明らかにする。EPA投与が行われている患者における、肝臓の脂肪化、血液中の脂肪酸と、SeP濃度、インスリン抵抗性との関連を明らかにする。EPA内服で血中SeP濃度が低下した症例において、インスリン抵抗性が改善したかどうかを安定同位体標識グルコース(6,6-2H2グルコース)併用高インスリン正常血糖クランプ検査法で評価する。EPAが及ぼすインスリン抵抗性の改善効果を、事前にSeP濃度を測定することによって予測できないかを検討する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に培養実験に加えて動物実験を予定していたが、培養実験のみにとどまった。次年度に動物実験を行うこととしたので、それに伴う経費は繰越とした。
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[Journal Article] Deficiency of the hepatokine selenoprotein P increases responsiveness to exercise in mice through upregulation of reactive oxygen species and AMP-activated protein kinase in muscle.2017
Author(s)
Misu H, Takayama H, Saito Y, Mita Y, Kikuchi A, Ishii KA, Chikamoto K, Kanamori T, Tajima N, Lan F, Takeshita Y, Honda M, Tanaka M, Kato S, Matsuyama N, Yoshioka Y, Iwayama K, Tokuyama K, Akazawa N, Maeda S, Takekoshi K, Matsugo S, Noguchi N, Kaneko S, Takamura T.
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Journal Title
Nat Med.
Volume: 23
Pages: 508-551
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Eicosapentaenoic acid down-regulates expression of the selenoprotein P gene by inhibiting SREBP-1c protein independently of the AMP-activated protein kinase pathway in H4IIEC3 hepatocytes.2017
Author(s)
Tajima-Shirasaki N, Ishii KA, Takayama H, Shirasaki T, Iwama H, Chikamoto K, Saito Y, Iwasaki Y, Teraguchi A, Lan F, Kikuchi A, Takeshita Y, Murao K, Matsugo S, Kaneko S, Misu H, Takamura T.
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Journal Title
J Biol Chem.
Volume: 292
Pages: 10791-10800
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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