2016 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病関連ヘパトカインを制御する新規鍵転写因子の同定
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16K09740
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
御簾 博文 金沢大学, 医学系, 准教授 (80447680)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘパトカイン / インスリン抵抗性 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、インスリン抵抗性を誘導することで高血糖を発症させる“ヘパトカイン”としてセレノプロテインP (SeP)とLECT2を同定した (Misu et al. Cell Metabolism 2010、Lan, Misu et al. Diabetes 2014)。さらに最近、骨格筋でのSePの受容体を同定し、SePがこの受容体を介して運動療法の感受性を劇的に低下させることを見出した (Misu et al. Nature Medicine 2017)。このように申請者は、新たな機能が同定された肝由来分泌タンパクをヘパトカインと総称することを提唱するとともに、実験動物および培養細胞実験を用いてヘパトカインであるSePとLECT2の肝臓での過剰産生が2型糖尿病の有望な新規治療標的であることを明らかとしてきた。しかしながら、肥満症や2型糖尿病において肝臓でSePとLECT2が過剰に産生される分子機序は完全には解明されていない。その後申請者は、抗糖尿病薬メトホルミンが転写因子Foxo3の不活化を介して肝細胞でのSeP発現を抑制することを報告した(Takayama, Misu et al. JBC 2014)。この結果から申請者は、肝細胞にはSePとLECT2の両者の産生を制御する新規の鍵転写因子が発現しており、この鍵因子の過剰な活性化が2型糖尿病でのヘパトカイン異常分泌の原因となると仮説を立てた。本研究では、このような肝細胞においてヘパトカインSePとLECT2の両者の発現を制御する新規鍵転写因子を同定し、その機能解析をおこなうことで、“肝臓でのヘパトカイン異常分泌を是正する”という新たな2型糖尿病治療の開発にむけた、基盤的な研究をおこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに数年にわたって蓄積してきた2型糖尿病患者の肝臓の包括的な発現遺伝子情報 (H.Misu et al. Diabetologia 2007)を用いて、SePおよびLECT2の両者の肝遺伝子発現と発現が正相関する転写因子を網羅的に探索した結果、候補となる転写因子Xを同定した。2型糖尿病患者の肝での転写因子Xの発現量は、患者のインスリン抵抗性指数と正相関していた。マウス肝細胞AML12においてアデノウイルスベクターを用いて候補となっている転写因子Xを過剰発現すると、SePとLECT2の両者の遺伝子発現および転写活性は有意に上昇した。一方、マウス肝細胞AML12においてsiRNA導入法を用いて候補となっている転写因子Xをノックダウンすると、realtime PCR法によって評価したSePとLECT2の両者の遺伝子発現は有意に低下した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、培養肝細胞を用いて転写因子XによるSeP・LECT2の遺伝子発現制御機構の詳細を明らかにする。具体的には、プロモーターのどの領域に結合するか、DNA上の応答配列が何であるかをルシフェラーゼアッセイで明らかにする。次に、肝臓特異的な転写因子Xの遺伝子欠損マウスを作成することで、転写因子Xの糖代謝およびインスリン感受性におよぼす作用をin vivoで検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた遺伝子欠損マウスの完成が遅れたため、2016年の実験を最小限とし、2017年に消耗品を使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年には遺伝子欠損マウスが完成したため、このマウスの表現型解析のために各種消耗品を使用する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Deficiency of the hepatokine selenoprotein P increases responsiveness to exercise in mice through upregulation of reactive oxygen species and AMP-activated protein kinase in muscle2017
Author(s)
H. Misu, H. Takayama, Y. Saito, Y. Mita, A. Kikuchi, K. A. Ishii, K. Chikamoto, T. Kanamori, N. Tajima, F. Lan, Y. Takeshita, M. Honda, M. Tanaka, S. Kato, N. Matsuyama, Y. Yoshioka, K. Iwayama, K. Tokuyama, N. Akazawa, S. Maeda, K. Takekoshi, S. Matsugo, N. Noguchi, S. Kaneko and T. Takamura
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Journal Title
Nature Medicine
Volume: 23
Pages: 508~516
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Rapid response of the steatosis-sensing hepatokine LECT2 during diet-induced weight cycling in mice2016
Author(s)
K. Chikamoto, H. Misu, H. Takayama, A. Kikuchi, K. A. Ishii, F. Lan, N. Takata, N. Tajima-Shirasaki, Y. Takeshita, H. Tsugane, S. Kaneko, S. Matsugo and T. Takamura
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 478
Pages: 1310-1316
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Development of a Sol Particle Homogeneous Immunoassay for Measuring Full-Length Selenoprotein P in Human Serum2016
Author(s)
M. Tanaka, Y. Saito, H. Misu, S. Kato, Y. Kita, Y. Takeshita, T. Kanamori, T. Nagano, M. Nakagen, T. Urabe, T. Takamura, S. Kaneko, K. Takahashi and N. Matsuyama
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Journal Title
J Clin Lab Anal
Volume: 30
Pages: 114-122
DOI
Peer Reviewed
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