2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞移植によるステロイドホルモン補充についての検討
Project/Area Number |
16K09815
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田中 智子 福岡大学, 医学部, 助教 (10380528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 敏彦 福岡大学, 医学部, 教授 (30239818)
小玉 正太 福岡大学, 医学部, 教授 (90549338)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ステロイドホルモン / 副腎皮質 / 分化誘導 / 再生医療 / 補充 |
Outline of Annual Research Achievements |
副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンの不足に対するホルモン補充療法は確立された療法ではあるが、長期間のステロイド補充は視床下部-下垂体-副腎軸を抑制し、代謝および免疫系に及ぼす影響も少なくない。細胞療法のメリットのひとつに生体内の刺激に応答した分泌調節があげられる。私達は、細胞療法によるステロイド補充の可能性に着目し、これまでに転写因子SF-1/Ad4BPの強制発現によって間葉系幹細胞がステロイド産生細胞へ形質転換されることを明らかにした。本研究はヒト間葉系幹細胞より分化誘導したステロイド産生細胞(SF-1誘導性ステロイド産生細胞)を副腎不全モデルマウスに移植し、ホルモン補充効果について検討することを目的としている。マウス間葉系幹細胞より作出したステロイド産生細胞を副腎不全モデルに移植すると、血中コルチコステロンが検出され生存期間が延長した。本年度は、ヒト由来の移植細胞を効率的に調整するため、薬剤誘導性SF-1発現レンチウイルスベクターを作製した。このシステムによって、ドキシサイクリン存在下でSF-1/Ad4BPの発現をOFFした状態で移植用細胞を増幅可能である。作製したTet-offヒトSF-1発現用ウイルスをヒト脂肪組織由来幹細胞に感染させ薬剤応答性にSF-1、ステロイド合成酵素の発現を調節できることを確認した。今後、作製したベクターを用いて移植用ステロイド産生細胞をヒト脂肪組織由来幹細胞より調整し、副腎不全モデルマウスへの移植実験を行う。また、また、本研究では間葉系幹細胞において内因性SF-1/Ad4BPを発現誘導するシグナリングの探索を行い、薬剤スクリーニングを行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.移植によるステロイド補充実験:ヒト由来の移植用SF-1/Ad4BP誘導性ステロイド産生細胞を調整するため、Tet-offシステムを利用したレンチウイルスベクターを作製した。このシステムによって、ドキシサイクリン存在下でSF-1/Ad4BPの発現をOFFした状態で移植用細胞を増幅させることができる。ヒト脂肪組織由来幹細胞に作製したTet-offヒトSF-1発現用ウイルスを感染させ、薬剤選択によって遺伝子導入細胞を選択した後、ドキシサイクリンを含まない培地にて細胞を培養し、SF-1およびステロイド合成酵素の発現が誘導されることを確認した。また、一旦SF-1/Ad4BPの発現をONにした細胞に再度ドキシサイクリンを添加することで再び発現を抑制できることも確認され、薬剤誘導性に発現調節可能なベクターを構築した。また、腎皮膜下以外の移植部位について検討するため、マウス脾臓にEGFP_Tgマウス由来の間葉系幹細胞を移植したところ、脾内にGFP陽性細胞が検出され細胞の生着が確認された。 2. 内因性SF-1/Ad4BP誘導因子の探索:ゲノム編集を利用したSF-1プロモーター下流ルシフェラーゼ発現細胞株の作製は相同組換え体が得られず作製が困難であったため、当初の計画を変更して、薬剤刺激した細胞より細胞上精を調整し、リアルタイムRT-PCRにてNR5A1の発現誘導を解析した。阻害剤ライブラリー384種およびビタミン誘導体32種を検討した結果、40種類の阻害剤と1種類のビタミン誘導体に着目した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 薬剤誘導性SF-1発現ベクターを利用して、SF-1発現をOFFの状態で移植用ヒト脂肪組織由来幹細胞を増幅させる。移植前に細胞をドキシサイクリンを含まない培地にて培養し、SF-1誘導性ステロイド産生細胞を調整する。免疫不全マウスの両側副腎を二期的に摘出し、腎皮膜下にSF-1誘導性ステロイド産生細胞を移植する。移植後の生存期間、血中ステロイドを検討する。生存マウスを用いて、ACTH負荷試験を行い、ACTH応答性について検討する。 2. 一次スクリーニングの結果より着目したシグナルのついて、刺激濃度、刺激のタイミングおよび刺激時間、その組み合わせを検討し、SF-1発現誘導細胞において、ステロイド産生が起きるかどうか検証する。
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Research Products
(6 results)