2016 Fiscal Year Research-status Report
血栓性リスクとなるプロテインS K196E異常症に関する研究
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16K09834
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
宮田 敏行 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 非常勤研究員 (90183970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉松 淳 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (20221674)
秋山 正志 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (30298179)
丸山 慶子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (30712624)
小亀 浩市 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (40270730)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血栓性素因 / 凝固制御因子 / 静脈血栓症、 / 変異体 / プロテインS |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人にだけに見られるプロテインS K196E(PS-K196E)の性質 私達は抗血栓因子であるADAMTS13を動物細胞で大量に発現させ、結晶構造解析を行った経験を持つ(Akiyama et al, PNAS, 2009)。この時に用いた動物細胞の発現系を用いて、野生型および変異型プロテインS K196E(PS-K196E)を発現させ精製した。CHO Lec細胞にHisタグ付き野生型および変異型PS発現ベクターをリポフェクション法にて導入し、安定発現細胞株を樹立した。ローラーボトルを用いて大量培養を行い、培地をNi-NTAアフィニティーカラムに通しHisタグ付きPSタンパク質を精製した。次いで、TEVプロテアーゼでHisタグを除去した後、陰イオン交換カラムを用いて、Gla化された組換えPSを精製した。STA Clot Protein S kitを用いて、精製PS標品の活性化プロテインC(APC)のコファクター活性(APC活性増強作用)を調べたところ、変異型PSは野生型PSに比べ約46%に活性が低下していた。次に、APC-FVa inactivation assayにてAPCコファクター活性を評価したところ、FVa活性が50%に低下する際の変異型PSは野生型PSの約2倍量が必要であった。この結果から、PS-K196Eが静脈血栓塞栓症のリスクになるのは、変異体のAPCコファクター活性の低下が考えられた。 ピル服用者のPS K196E変異および先天性凝固因子欠乏症 国立循環器病研究センター周産期婦人科との共同研究で、ピル服用者の凝固制御因子の調査を行っている。これまでに、約400人の登録が終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロテインS K196E(PS-K196E)の性質に関する研究は、タンパク質の発現系を確立し、これを用いて正常PSおよび異常PSを精製純化後、酵素学的性質を検討した。その結果、PS-K196Eは活性化プロテインCの補酵素活性が約半分にまで低下していた。以前私達は、地域一般住民(1862人)にPS-K196Eヘテロ接合体者(34人)を認め、その血中PS抗凝固活性は、正常PSを有する人(1828人)に比べ、約16%低下することを報告した(Kimura et al, J Thromb Haemost, 4, 2010-92013, 2006)。今回のPS-K196E変異体の酵素学的性質(活性化プロテインCの補酵素活性の低下)は、ヒトを対象にした研究結果を強く支持している。 ピル服用者を対象とする研究は、約400人の登録が終了した。ピル服用前後のプロテインC、プロテインS、アンチトロンビンの活性と抗原量の測定を開始している。また、服薬後の血栓症の有無を追跡している。こちらの研究もほぼ順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテインS K196E(PS-K196E)の性質に関する研究は、確認のための実験を行った上で、データを取りまとめて原著論文として成果を発表したい。ピル服用者を対象とする研究は、登録した約400人のピル服用前後のプロテインC、プロテインS、アンチトロンビンの活性と抗原量の変化を調べているところである。服用前に測定した凝固制御因子の活性が低下している症例は、DNAシークエンス法により遺伝子変異があるかどうかを調べる。引き続き、血栓症発症の有無を追跡調査する。
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Causes of Carryover |
国立循環器病研究センター周産期婦人科と共同で、ピル服用者の凝固制御因子の調査を行っている。平成28年度は、約400人を登録するところまで研究を進める事ができた。筆頭著者として総説1報と原著論文1報を英文で発表した。これらに多くの時間を費やした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は収集した試料(約400人)の凝固制御因子の測定などを行う計画である。また、ピル服用前に測定した凝固制御因子の活性が低下している症例は、先天性欠乏症の疑いがあると考えられるので、DNAシークエンス法により遺伝子変異があるかどうかを調べる予定である。研究費を遺伝子解析などの試薬代に有効に使用したい。
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[Journal Article] Cardiovascular events occur independently of high on-aspirin platelet reactivity and residual COX-1 activity in stable cardiovascular patients2016
Author(s)
Nagatsuka K, Miyata S, Kada A, Kawamura A, Nakagawara J, Furui E, Takiuchi S, Taomoto K, Kario K, Uchiyama S, Saito K, Nagao T, Kitagawa K, Hosomi N, Tanaka K, Kaikita K, Katayama Y, Abumiya T, Nakane H, Wada H, Hattori A, Kimura K, Isshiki T, Nishikawa M, Yamawaki T, Yonemoto N, Okada H, Ogawa H, Minematsu K, Miyata T
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Journal Title
Thromb Haemost
Volume: 116
Pages: 356-368
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Influence of a rotational speed modulation system used with an implantable continuous-flow left ventricular assist device (EVAHEART) on von Willebrand factor dynamics2016
Author(s)
Naito N, Mizuno T, Nishimura T, Kishimoto S, Takewa Y, Eura Y, Kokame K, Miyata T, Date K, Umeki A, Ando M, Ono M, Tatsumi E
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Journal Title
Artif Organs
Volume: 40
Pages: 877-883
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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