2017 Fiscal Year Research-status Report
血栓性リスクとなるプロテインS K196E異常症に関する研究
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16K09834
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
宮田 敏行 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 非常勤研究員 (90183970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉松 淳 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (20221674)
秋山 正志 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (30298179)
丸山 慶子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (30712624)
小亀 浩市 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (40270730)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 静脈血栓塞栓症 / 経口避妊薬 / プロテインS / 遺伝子変異 / 凝固制御因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
私達はプロテインS (PS) K196E変異が日本人の約55人に1人に見られ、静脈血栓塞栓症の危険因子であることを報告してきた。PS K196E変異組換え体をCHO細胞で発現・精製し、活性化プロテインCの補酵素活性と組織因子経路インヒビターの補酵素活性を検討し論文として投稿した。現在、リバイス中である。 PSの血中量は女性ホルモンで低下することが古くから知られている。PS K196E変異保有者はPS活性が低下しており、経口避妊薬により更にPS活性が低下することが考えられる。本研究ではPS K196E変異保有者の経口避妊薬の影響を調べた。PS K196E変異は遺伝子タイピングにより決定した。PS K196E変異は経口避妊薬内服患者394人中6人(1.5%)に同定された。変異保有者のPS活性は変異非保有者よりも低値を示したが、遊離PS抗原量に変化は見られなかった。変異保有者のPS活性は経口避妊薬内服により更に低下した。このことから、PS K196E変異保有者では経口避妊薬内服により静脈血栓塞栓症のリスクがあがることが考えられた。本研究成果を論文として投稿する準備を進めている。 PSによる凝固IXaの阻害を研究している米国の研究者に組換え体の野生型PS とPS K196E変異体を送付し、PS K196EがIXa活性を阻害するかどうかの共同研究を進めている。また、脳静脈血栓を発症した患者にPS K196E変異を同定し、論文として投稿する準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凝固制御因子の先天性欠乏症は静脈血栓塞栓症の遺伝的リスクである。私達は凝固制御因子であるプロテインS (PS)のp.Lys196Glu (K196E) 変異は日本人の約1.8%(約55人に1人)に見られ、約1万人がホモ接合体であると推定され、日本人の遺伝的リスクであることを報告してきた。本変異は中国人や韓国人には見られず、日本人特有の血栓性変異であることも報告した。本研究では、これまでの私達の研究をさらに発展させるため、1)PS K196E変異体を用いた酵素学的性質の検討、2)経口避妊薬内服患者を対象とした経口避妊薬の凝固制御因子影響、特にPS K196Eの影響、3)私達が作製したPS K196E変異マウスとPS遺伝子KOマウスを用いたPSの血栓症以外の疾患への関与の検討、を計画した。このうち、1)と2)は順調に研究を進める事ができ、研究成果を論文として発表する段階まで進んでいる。しかし、3)の研究は進めることができていない。成果を確実に挙げるように研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
PS K196E変異組換え体の活性化プロテインC補酵素活性と組織因子経路インヒビターの補酵素活性を検討し論文を投稿した。現在、リバイス実験を進めている。 経口避妊薬は広く使用されているが血栓発症の懸念が残っている。経口避妊薬はPS活性を低下させることが判明しているので、PS欠乏症が経口避妊薬での血栓発症に関わる可能性がある。血栓症という観点からPS K196E変異を含むPS欠乏症と経口避妊薬の研究を進めたい。 PSによる凝固IXaの阻害にかんして、野生型PS とPS K196E変異体を用いて効果を調べている。PS K196EがIXa活性を阻害するかどうかの結果を近々得られるだろうと思う。
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Causes of Carryover |
PS K196E変異体を用いた酵素学的性質の検討と経口避妊薬内服患者でのPS K196Eの影響に関する研究は、順調に進み結果をまとめる時期となった。そのため、消耗品などの経費を節約できた。今後、経口避妊薬内服患者の遺伝子解析や組換えPSの発現などの消耗品の購入の費用に充てたい。成果が出ているので、研究費からの旅費を用いて学会発表なども積極的に行っていきたい。
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Remarks |
F1000Prime に6つの論文を紹介した。 https://f1000.com/prime
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[Journal Article] von Willebrand factor aggravates hepatic ischemia-reperfusion injury by promoting neutrophil recruitment in mice2018
Author(s)
Urisono Y, Sakata A, Matsui H, Kasuda S, Ono S, Nishio K, Sho M, Okuchi K, Akiyama M, Miyata T, Nishimura S, Sugimoto M
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Journal Title
Thromb Haemost
Volume: 118
Pages: 700-708
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Clinical manifestation of atypical hemolytic uremic syndrome patients with the C3 p.I1157T variation in the Kinki region of Japan2018
Author(s)
Matsumoto T, Toyoda, H, Amano K, Hirayama M, Ishikawa E, FujimotoM, Ito M, Ohishi, K, Katayama N, Yoshida Y, Matsumoto M, Kawamura N, Ikejiri M, Kawakami K, Miyata T, Wada H
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Journal Title
Clin Appl Thromb Hemost
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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[Book] 臨床脈管学2017
Author(s)
宮田敏行、辻明宏
Total Pages
2
Publisher
日本医学出版
ISBN
978-4-86577-027-8