2016 Fiscal Year Research-status Report
CXCR4利用性HIV-1の維持・淘汰に関わる宿主側・ウイルス側因子の多面的解析
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16K09938
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 洋助 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (30284764)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | HIV-1 / coreceptor / CXCR4 / CCR5 |
Outline of Annual Research Achievements |
北ベトナムのHIV-1感染者血漿から分離したCRF01_AE HIV-1のコレセプター利用性を解析した。分離した7株のCRF01_AE HIV-1のコレセプター利用性を解析したところ、3株がCXCR4のみを使用するX4 HIV-1(42%)であった。一般にCXCR4利用性HIV-1のほとんどはCCR5も利用できるR5X4 HIV-1 (dual) であり、CCR5を使用しないX4 HIV-1は極めてまれと言われてきた。そこでX4 HIV-1の北ベトナムでの頻度を調べるため、HIV-1感染個体から得られた血漿のvRNAからHIV-1のV3領域をクローニングし、組み換えウイルスを作製し、そのコレセプター利用性を調べた。結果24株中4株がCXCR4利用性であり、そのうち2株がCXCR4のみを使用するX4 HIV-1であった。これは全体の8.3%、CXCR4利用性HIV-1の50%を占めており、この地域ではX4 HIV-1の頻度が極めて高いことが判明した。さらに、これらのAMD3100(CXCR4阻害剤)感受性を解析したところ、ウイルス間でその感受性が100倍程度異なり、CXCR4利用性HIV-1間でのCXCR4への親和性の違いが明らかとなった。これらの結果より、治療薬としてのコレセプター阻害剤使用はこの地域では避ける必要があること、さらにはこの地域では形質が異なるX4ウイルスが存在して進化をとげていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
熊本地震による影響で予定通り実験が遂行しなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
コレセプター利用性がCXCR4のみのウイルスを有する感染個体に分離したX4以外のウイルスが共存しているかを確認するため,感染個体血清中のvRNAについての解析を次世代シークエンサーを使用して行う。またCXCR4利用性HIV-1の中和抗体感受性を解析する。
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Causes of Carryover |
熊本地震の影響で実験が予定通り遂行できず,予算執行が一時停滞したことが原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は前年度停滞した部分を補完しつつ,予定通り予算を執行する。
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Research Products
(3 results)