2017 Fiscal Year Research-status Report
CXCR4利用性HIV-1の維持・淘汰に関わる宿主側・ウイルス側因子の多面的解析
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16K09938
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 洋助 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (30284764)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | HIV / コレセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,ハノイを中心とした北ベトナム地域のHIV-1感染者であるVI-152, VI-157, VI-164, VI-340の血漿から分離されたウイルスのEnv領域の全長のアミノ酸配列を決定した。さらに同じ感染者の血漿vRNAからenv領域をPCRでクローニングして,そのEnvのアミノ酸配列を分離ウイルスと比較するとともに,それぞれのEnvを有するレポーターHIV-1を作製し,それぞれのウイルスのコレセプター利用性を解析した。その結果,CXCR4のみを使用するX4ウイルスが分離されたVI-157, VI-158, VI-164感染者の血漿vRNAからクローニングされるEnvは,分離されたEnvと比較して,そのV1/2ならびにV3領域が異なっているクローンが主要であり,さらにコレセプターとしてはCCR5のみを使用するR5ウイルスであることが判明した。逆にCCR5のみを使用するR5ウイルスが分離された感染者であるVI-340の血漿vRNAからクローニングされたEnvはCXCR4のみを使用するX4ウイルであり,血漿から分離されたウイルスと血漿vRNA由来Envのコレセプター利用性が同一感染個体内で異なっている例があることが明らかとなった。以上の結果から,今回血漿から分離されたウイルスは in vitroでは複製能が高いため,主要なウイルスを凌駕して増殖してくるものの,in vivoでは,何らかの宿主側要因によって抑圧されていることが示唆された。この知見は一部の感染個体におけるR5からX4への個体内進化を説明できる現象なのかもしれない。現在,これらの感染者血漿中にR5とX4ウイルスの両者が実際に混在していることを,次世代シークエンサーを使用して確認しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同一個体内でコレセプター利用性の異なるウイルスが混在しているものの,一般的にはCXCR4利用性のHIVの複製はin vivoでは抑圧されている明らかとなり,当初の予想通りCXCR4利用性のHIV-1は一部の個体内で維持されているものの,その複製は低く抑えられいることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通り,CXCR4利用性のHIV-1が一部の個体内で維持されているものの,その複製は低く抑えられいるその抑圧機序について多方面から解析する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は当初の予想より少ない研究費で研究が遂行したが,来年度は,最終年度でもあり,その機序の解明についての研究費が予定以上に必要となる。
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Research Products
(4 results)