2017 Fiscal Year Research-status Report
感染性心内膜炎における新規バイオマーカーendocanの統合的解析
Project/Area Number |
16K09945
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
北沢 貴利 帝京大学, 医学部, 准教授 (90505900)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 智樹 帝京大学, 医学部, 教授 (30599270)
上妻 謙 帝京大学, 医学部, 教授 (90365940)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 感染性心内膜炎 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の臨床研究は、感染症でendocanが発症後長期に高値を持続すること、菌血症ではより高値を示すことが明らかにされているが、感染性心内膜炎でも同様に高endocan血症の長期持続性を有するのか、治療中もしくは終了時点での血清endocan濃度が、臨床経過、治療後の再発性を反映しているのかについては検討されていない。本研究では臨床症例での血清濃度の推移を治療開始から終了後まで継時的に解析する。対象は、非担癌症例である感染性心内膜炎症例8例に対して、治療開始日を0日として、0、3、7±1、14±1、28±1日、及び治療終了後1ヵ月の血清を採取し、endocan濃度をELISA法にて測定した。また同時にプロカルシトニンを同時に測定した。 平均±SD の血清endocan濃度は0、3、7、14、28日目、治療終了後はそれぞれ2.38±2.04、2.28±1.21、2.75±2.07、3.54±4.00、5.39±9.36、2.29±1.44 ng/mLであった。一方プロカルシトニンは0.991±2.027、0.166±0.204、0.134±0.239、0.087±0.161、1.301±2.667ng/mLであった。Endocanとプロカルシトニンの相関係数は0.054であった。 この解析により、まず心内膜炎におけるendocan濃度亢進の持続が、プロカルシトニンと比較して発症時のみではなく、長期に高値を持続する傾向が明らかとなった。両バイオマーカーの相関は弱く、組み合わせることで予後予測する可能性も考慮された。またendocanはプロカルシトニンに比べて個体間、採取時期の偏差が小さく、採取タイミングによる影響を受けにくい傾向があり、症例の経時的な評価には優れる可能性も示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染性心内膜炎症例における血清endocan濃度と病態進行の関連性を解析する臨床研究は平成29年度で目標の約半数であり、引き続き症例の収集、データ解析が必要である。内皮細胞におけるendocanの産生機構の解析は、細胞シグナルの関与について解析が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
臨床研究は感染性心内膜炎の症例の収集が更に必要であり、継続して症例の収集、データを解析し、endocan、他のバイオマーカーとの関連を解析していく。 endocanがLPS以外の病原因子でもendocanの産生能を有する可能性が推測されるが、誘導する病原因子の特異性を検証した報告はない。本研究では黄色ブドウ球菌由来のペプチドグリカン、テイコ酸、Zymosanといった代表的病原因子で刺激し、endocanが産生されるのかELISA法を用い研究協力者が解析する。この解析でendocanの産生が、特定の病原因子のみ誘導されるのか、感染により非特異的におこる現象かを確認できる。
|
Causes of Carryover |
(理由) 臨床研究において血清endocan測定を行った症例が目標に達しなかったため、ELISAキットの購入が予定に満たなかった。 (使用計画) 平成30年度において十分数の症例が集積され次第、endocanELISAキットの追加で購入し、測定を行う予定である。
|
Research Products
(4 results)