2016 Fiscal Year Research-status Report
アルコール過剰摂取患者の感染感受性に対する断酒治療の効果
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16K09949
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
朝井 章 大阪医科大学, 医学部, 講師 (30622146)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アルコール / マクロファージ / IMC |
Outline of Annual Research Achievements |
アルコール依存症者は易感染性であるため、腸内細菌叢からBacterial translocationが起こし敗血症死に至ることが多い。アルコール依存症者において、易感染性を導くM2bマクロファージが優位に存在することが敗血症に至る原因の一つであるが、何故M2bマクロファージが優位に導かれるのかは不明である。末梢血のImmature Myeloid cell (IMC)はマクロファージを含む様々な免疫担当細胞の感染抵抗性を抑制する事が知られている。そのため、アルコール依存症者におけるIMCの性質とEnterococcus faecalis(E. faecalis)感染に対するIMCの影響を調べた。健常人及びアルコール依存症者の末梢血由来IMCを単離しレチノイン酸レセプター(RAR)の発現調べたところ、健常人由来IMCは、RARが発現しているが、アルコール依存症者由来IMCでは発現しなかった。健常人由来IMCはレチノイン酸(RA)にてCD19陽性細胞へ成熟するが、アルコール依存症者由来IMC は成熟しなかった。健常人末梢血由来マクロファージを健常人もしくはアルコール依存症者由来IMC上清にて刺激してE. faecalisに対する殺菌能と細胞内IL-10発現を調べた。アルコール依存症者由来IMC培養上清で健常人由来マクロファージを刺激すると殺菌能を認めず、IL-10陽性細胞になった。健常人由来IMCの培養上清で健常人由来マクロファージを刺激しても同様であった。健常人由来IMCをRAにて刺激し、その培養上清にて健常人由来マクロファージを培養するとIL-10は発現せず、E. faecalisに対する殺菌能は回復した。アルコール依存症由来IMCはM2マクロファージを誘導し、感染抵抗性を低下させるが、健常人由来IMCではRA刺激があれば感染抵抗性を維持できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ある程度予想どおりに実験が勧められている。
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Strategy for Future Research Activity |
断酒治療とIMCの関係制について今後検討を行う予定である。 断酒を行うとIMCにおけるレチノイン酸レセプターが回復する可能性があると考えている。 つまりそのレチノイン酸レセプターが改善すれば、レチノイン酸により成熟し、他の免疫担当細胞への抑制効果が消失し、M2bマクロファージを導かず、結果的に個体の感染抵抗性を回復しうるのではないかと考えている。
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Causes of Carryover |
実験が概ね予定通りに進行しているが、患者の検体の集まりが予定よりも遅く、そのため実験に僅かに遅延が生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者検体が集まり次第、同様の実験を継続していく予定であり、その経費として利用する。
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Research Products
(2 results)