2016 Fiscal Year Research-status Report
心筋炎治療へ向けたリン酸ジエステル加水分解酵素阻害薬抗炎症効果の基礎研究
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16K10064
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
斉藤 剛克 金沢大学, 附属病院, 助教 (30525035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 邦雄 金沢大学, 医学系, 准教授 (00303280)
杉本 直俊 金沢大学, 医学系, 准教授 (80272954)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心筋炎 / 感染 / 薬剤 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児の心筋炎はウイルスを含む様々な感染性病原体が起因と考えられ、心不全症状により生命が脅かされる。ベトナムを含む東南アジアや東アジアの途上国では公衆衛生上の課題や高価な薬剤使用の制限から、小児心筋炎を起因とする死亡例が多い。小児心不全では後負荷軽減のための治療として血管拡張作用のあるリン酸ジエステル加水分解酵素(PDE)阻害薬が推奨されている。私たちはこれまでにリン酸ジエステル加水分解酵素(PDE)阻害薬が血管拡張作用以外に抗炎症作用を有していることを明らかにしてきた。 本研究は、様々な感染性病原体成分や毒素、薬剤誘導性の心筋炎に対する(比較的安価である)リン酸ジエステル加水分解酵素(PDE)阻害薬の効果を明らかにする基礎研究である。 平成28年度(初年度)は、培養心筋細胞での各種刺激による心筋炎モデルを作成に重点を置いた。 まず感染症のモデルとして細菌由来のリポポリサッカライド(LPS)による刺激モデル、感染や様々な病態で高値を認め、単球やマクロファージから放出される腫瘍壊死因子(TNF-α)による刺激モデル、そして抗がん治療に認めるものとして薬剤アドリアマイシンによる刺激モデルを作成し、刺激前後の経過を観察した。以上の刺激により、濃度依存的な細胞死、炎症シグナルの活性化、アポトーシスシグナルの活性化などが確認されたが、相違点も観察された。次年度以降は本年度の成果(心筋炎モデル)を踏まえ、さらに発展させていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度では心筋炎モデルの作成に重点を置いたため、リン酸ジエステル加水分解酵素(PDE)阻害薬の効果の検討が十分でなかった。そのため、やや遅れていると思われる。しかしながら、本年度の成果(心筋炎モデルの作成)は、次年度での研究推進に極めて有用であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果、心筋炎モデルの作成が確認できたため、心筋炎の予防、もしくは治療へのリン酸ジエステル加水分解酵素(PDE)阻害薬の効果の検討を進める。
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Causes of Carryover |
一部の研究消耗品の購入を次年度に繰り越した。また、一部の情報収集などの活動も次年度に繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究消耗品購入などの実験推進に経費を充てるとともに、研究の推進のため情報収集や成果発表などの活動へ経費も充てる。50万円以上の物品の購入はない。
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