2019 Fiscal Year Research-status Report
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16K10187
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
谷井 久志 三重大学, 保健管理センター, 教授 (40346200)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パニック症 / 非対称性 / 遺伝子多型 / 拡散テンソル画像 / FreeSurfer解析 / 合併症 |
Outline of Annual Research Achievements |
①不安症(特にパニック症)の合併症についての検討: パニック症患者のSDS、STAI(特性・状態不安)、ASI(不安感受性)、NEO PI-Rなど心理検査得点の関係について、パニック症において合併症の有無で比較検討した。外向性(E)とASI得点に負の相関が見られた。パニック障害への合併症の数が多いほど外向性とASI得点の相関係数の絶対値が低下した。合併症の数が多いほど外向性とASI得点の相関が弱くなっていることから、外向性の抗不安的な効果が合併症によって減少する可能性が示唆された。 ②脳内ネットワーク障害についての検討: 3.0テスラMRI装置によるdiffusion tensor imaging : DTI(拡散テンソル画像)を用いて疾患群と健常者群の比較検討を行った。その結果、前頭葉に投射する神経束のFA(Fractional anisotropy)値が、海馬や扁桃体の容積は健常者とパニック症患者とで異なる関連性を持つことが示唆された。 ③FreeSurfer を用いた脳皮質構造の検討:3T MRI装置を用いて、パニック症患者と健常対照被験者のMRI T1画像を得てFreeSurferを用いて脳皮質構造の比較検討を行った。その結果、パニック患者群の舌回ではASIと皮質厚の間に負の相関があった。舌回は後頭葉に存在し、夢や視覚、単語認識に重要な役割を果たしていると考えられている。 ④遺伝的因子の関与についての検討: 脳内ネットワーク障害(拡散テンソル画像)とFreeSufer脳構造解析の非対称性に関して、合併症(双極性障害、うつ病や広場恐怖症)の有無と代表的な遺伝子多型(COMT Val158Met多型やBDNFval66met多型、セロトニントランスポーター遺伝子多型)で検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプリングが順調に推移しており、健常者で約580例、パニック障害において640例に達している。その各々について不安感受性などの心理特性や遺伝子解析によるデータの蓄積を行っている。また約40例についてはMRIテンソル画像解析、FreeSurfer解析と遺伝子解析の双方を施行し、検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
拡散テンソル解析、および構造画像解析としてFreeSurferによる解析を継続的に行う。本研究においてはパニック症の脳機能の非対称性に着目し、局所的な連関の障害とともに脳構造に疾患が与える影響について遺伝的因子を含めて検討する。 パニック症の発症に関わる心理社会的因子や発症後の脳内ネットワーク障害(拡散テンソル画像)や前頭葉機能異常(NIRS研究)、特にその非対称性に影響を与える遺伝的因子として代表的な遺伝子多型(COMT Val158Met多型やBDNFval66met多型、セロトニントランスポーター多型(5HTT-LPR))やCNVとの関連を調べる。その他、パニック症に関する遺伝学的検討で得られた知見と各種因子について解析を進める。心理検査として従来の不安特性に加えて、メタ認知など脳機能と関連する指標も追加して検討する。脳内の非対称性を健常者群と疾患群の差異や遺伝子多型の関与に注目してパニック症の病態を明らかにすべく検討を進める。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初予定していた疾患群の脳画像データのサンプル数を確保するための収集期間が延びたことにより、画像解析の実施が次年度に繰り越しとなった。また.遺伝子解析のための消耗品や新たな画像解析系ソフトや統計処理ソフトについて当初予定の経費がかからなかったため。 (使用計画) 収集したデータ解析の経費、成果発表に充当する予定である。
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[Journal Article] Sensitivity to gene dosage and gene expression affects genes with copy number variants observed among neuropsychiatric diseases.2020
Author(s)
Yamasaki M, Miyagawa T, Toyoda H, Khor SS, Liu X, Kuwabara H, Kano Y, Shimada T, Sugiyama T, Nishida H, Sugaya N, Tochigi M, Otowa T, Okazaki Y, Kaiya H, Kawamura Y, Miyashita A, Kuwano R, Kasai K, Tanii H, Sasaki T, Honda Y, Honda M, Tokunaga K.
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Journal Title
BMC Medical Genomics
Volume: 13(1)
Pages: 55
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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