2016 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患の神経ネットワーク変化に関する研究:時空間コネクティビティ解析による検討
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16K10236
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
山田 貴志 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (10721318)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | fMRI / 安静時機能結合 / 自閉スペクトラム症 / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、従来よりも空間精度、時間精度の高い解析手法を用いて、自閉スペクトラム症、うつ病の安静時機能結合MRIデータを解析することで、疾患特異的な神経ネットワークの変化を捉えるというものである。今年度の進捗は空間精度の高い手法で自閉スペクトラム症の安静時機能結合MRIデータを解析した結果で認められた。まず自閉スペクトラム症の島皮質を空間精度の高い手法で解析、機能的に区分し、機能的下位領域が健常群と異なるかを調べた(男性自閉スペクトラム症36名、男性健常群38名)。その結果左島皮質前部では、健常群では2つ下位領域が認められたのに対し、自閉スペクトラム症群では1つの下位領域のみ認められた。メタ解析的にこれら下位領域の機能を推定したところ、自閉スペクトラム症では情動処理に関わる下位領域が欠如していることが分かった。また、右島皮質腹側中部の下位領域が自閉スペクトラム症では統計学的有意に拡大していた。この下位領域の機能を推定すると、聴覚処理に関連していた。以上の島皮質下位領域における区分や体積の違いは、自閉スペクトラム症における社会的情動の障害と聴覚過敏に関連している可能性が示唆された。これらの結果を今年度科学誌Molecular Autismに投稿し、受理、出版された(Yamada et al., 2016)。また時間精度の高い手法を用いて解析をするため、関連する文献調査を行い、まず行う手法を絞り込み始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間精度の高い手法で自閉スペクトラム症の神経ネットワーク変化の特徴を抽出することができた。しかし、時間精度の高い手法はまだ試せていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後時間精度の高い手法を用いて、自閉スペクトラム症やうつ病の神経ネットワーク変化を捉えることができるのか、試していく予定。
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Causes of Carryover |
今年度は、解析と文献検索、論文執筆と投稿、受理までのプロセスで時間を大幅に消費し、新たな安静時MRIデータを取得することがなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は安静時MRIデータを10人単位で取得し、その施設利用料、謝金に使用する予定。データを増やし、より頑健な結果を目指す。
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Research Products
(5 results)