2017 Fiscal Year Research-status Report
うつ病休職者に対する職場トラウマ記憶書き直しに関する認知療法技法の導入と効果検証
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16K10243
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高梨 利恵子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (30755848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 栄司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00292699)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 職場トラウマ記憶 / リワークプログラム / イメージ書き直し / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病により休職を繰り返す患者の中には、職場で生じたストレスフルな出来事がきっかけとなり発症しているケースが少なくない。先行研究では、うつ病が寛解せずに難治化する患者は、寛解する患者と比較して、発症のきっかけとなったライフイベントに対する精神的な苦痛をより強く体験していることが示されている。本研究は、うつ病の発症に結び付いていると患者によって体験された職場におけるライフイベントを「職場トラウマ」と定義したうえで、認知行動療法のトラウマ記憶のイメージ書き直し技法(imargery rescripting:IR)を用いて治療をするプロトコルの開発と効果検証を行うことを目的とする。 平成29年度は、どのような出来事が「職場トラウマ」となりうるかを明らかにすることを目的に、患者により報告された休職に結び付いた要因を質的に解析した。その結果、体調、家族、職場の3つの領域にまたがる23のカテゴリーを見出した。特に報告の多かったカテゴリーは頻度の順に、「上司との関係(叱責、指導、意見など)」、「過重労働(量、質的な過負荷、過重な出張、接待などの通常外業務など」)、「業務遂行上の認知(自信がない、モチベーションが持てないなど)」であった。 さらに、うつ病による休職者が利用するリワークデイケアプログラムでIRを実施するためのプロトコルの開発を行った。集団プログラムというメリットを生かし、ロールプレイの手法を援用し、リワークプログラムという安全や安心の保証された場において、トラウマ場面をイメージ上のみならず患者自身や他の参加者が再演することで、より当時の感情や認知をとらえやすくしたり、また出来事に対して客観的な視点を得やすくしたり、他の参加者から新たな視点の提供を受けたりすることを可能にする。今後はこのプロトコルの効果検証を行っていく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
うつ病により休職に至った要因について、患者の体験を整理することにより、イメージ書き直し技法の介入対象である職場トラウマとなりうる要因について知見を得ることができた。またリワークプログラムで実施するためのイメージ書き直し技法のプロトコルも完成し、実施に向けてトレーニングを開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は作成されたリワークプログラムにおける職場トラウマ書き直し技法を実施し、効果を検証する。職場トラウマに対する苦痛度、侵入体験、回避、過覚醒、うつ症状、さらには職場復帰へのモチベーション、再休職予防への効果を検討する。
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Research Products
(3 results)