2018 Fiscal Year Research-status Report
社会的刺激への反射的応答に着目した自閉スペクトラム症の生物学的病態解明
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16K10248
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡田 俊 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (80335249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 太 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (30542683)
宇野 洋太 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (40539681) [Withdrawn]
森川 真子 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (60783305)
小川 しおり 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (60814150)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 対人関係障害 / 表情認知 / 視線認知 / 中間表現型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、自閉症診断面接法(Autism Diagnositic Interview-Revised)ならびに自閉症スペクトラム観察検査(Autism Diagnostic Observation Schedule)によって自閉スペクトラム症と診断された成人において、情動的表情の認識課題(幸福、怒り、悲しみ、嫌悪、驚き、恐怖)の正答と誤答のパターン、ならびに表情のモーフィング画像の解答パターンを調べた。その結果、自閉スペクトラム症においては、6表情の中で特に怒りと嫌悪の正答率が低下しており、介入により対人行動が改善すると、怒りと嫌悪を取り違える誤答が減少していた。両者は不快情動である点は共通しているが、他者への攻撃性の有無という点で異なっており、表情の背後にある攻撃性などの他者の心的表象の認知が自閉スペクトラム症の病態に関連していることが示された。本年度はこの知見をさらに推し進めるため、未知相貌の認知課題、情動的表情の認識課題(幸福、怒り、悲しみ、嫌悪、驚き、恐怖)の正答・誤答パターンに加え、静的・動的表情の認知における表象モーメント、視線からの情動認知(eye test)を追加実施し、これらと対人行動の改善、ならびに、眼球運動と脳構造画像、心理症状(抑うつ、不安)との関連についてデータを蓄積し、これらの関係を確認しうるデータセットを取得しようとしている。現在は、データをサンプリング中であり、追加データの数量的検討を行うには至っていないが、翌年度もこれらのデータを引き続き蓄積する。平成31年度後半に向けて、臨床症状の中間表現型となる指標を確立し、さらに介入効果の指標となるかについても知見を得る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表情認知を中間表現型として研究を遂行することの妥当性を保証する知見を得るとともに、さらに精緻な課題を導入し、他の生物学的マーカーとの関係についてもデータセットを作成するなど、研究が発展しており、サンプリングも順調に遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプルサイズを拡大し、臨床症状と生物学的マーカー、静的・動的表情認知も含めた表情認識の関係性が明らかにできるようにデータを蓄積する。また、課題間の連携により、研究被験者のゲノムサンプリングも実施しており、ゲノム情報との関連についても検討を加えていく。
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Causes of Carryover |
今年度は、パソコン課題を中心にした課題を中心として収集を行い、ゲノム解析の実施、ゲノム、画像、視線運動解析などの多領域のデータを通しての解析の実施を翌年度に繰り越したことから、今年度支出を計画的に抑え、次年度へと持ち越した。次年度においては、ゲノム解析ならびに画像、視線運動解析などの中間表現型候補となるデータ群の解析を計画しており、これらの解析に持ち越し額を使用する見込みである。
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[Journal Article] Effect of intranasal oxytocin on the core social symptoms of autism spectrum disorder: a randomized clinical trial2018
Author(s)
Yamasue H, Okada T, Munesue T, Kuroda M, Fujioka T, Uno Y, Matsumoto K, Kuwabara H, Mori D, Okamoto Y, Yoshimura Y, Kawakubo Y, Arioka Y, Kojima M, Yuhi T, Owada K, Yassin W, Kushima I, Benner S, Ogawa N, Eriguchi Y, Kawano N, Uemura Y, Yamamoto M, Kano Y, Kasai K, Higashida H, Ozaki N, Kosaka H
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Journal Title
Molecular Psychiatry
Volume: Jan
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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