2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒト脳老廃物排泄機構の時空間的低侵襲画像評価法の開発
Project/Area Number |
16K10312
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川井 恒 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (50378147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田岡 俊昭 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (30305734)
長縄 慎二 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50242863)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 磁気共鳴画像 / 血管周囲腔 / ガドリニウム造影剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
glymphaticシステムは中枢神経系の廃棄物を星状膠細胞により血管周囲に形成されたトンネル様の構造で脳脊髄液とともに除去する系である。このシステムの中では、脳脊髄液と脳実質内の間質液が連続性に交換されている。実質内へは脳脊髄液の流入により、組織内の間質液は深部静脈の周囲の血管周囲腔へと運ばれ、脳外に排出されることとなる。また、星状膠細胞は睡眠時に60%収縮するといわれており、間質腔の拡がりにより効率的な脳脊髄液による洗滌がされると考えられている。このglymphaticシステムは加齢により減弱し、アルツハイマー病で穿通動脈の血管周囲腔にベータアミロイドペプチドが蓄積することはこのglymphaticシステムの障害に関連している可能性がある。 本研究ではヒト脳でのGymphaticシステムを非侵襲的な評価方法を確立することにある。実際にガドリニウム造影剤を使用したMRIの撮像では、脳脊髄液腔への微量な造影剤の漏出することは我々がすでに示していることであるが、先行研究では造影後4.5時間での漏出を示しているのみで、今回の研究ではさらに長時間での造影剤の動向を検討する予定である。また、睡眠の影響も検討するために、我々は実際のMRIでの撮像プロトコルについて検討し、睡眠後の撮像も含めた複数回のMRI撮像を行う計画を作成した。この検討にあたってはヒトボランティアを対象とする撮像であるため、この実験系に関して施設内の倫理審査委員会に諮問し、研究の承認を得た。 今後は実際の撮像を遂行し、上記造影剤の動向を観測することによりglymphaticシステムの解明を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画ではファントム実験を想定していたが、連続的な造影剤濃度勾配を有するファントムの作成が困難であり、想定していた実験系を満足させうる質が担保できないことが分かった。そこで、研究計画を一部変更し、前倒してヒトでのボランティアでのMRI撮像を進めることとし、撮像プロトコールを作成し倫理申請をした。
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Strategy for Future Research Activity |
倫理申請したプロトコールに従っての撮像は近日中に開始できるため、ボランティア撮像を行い画像解析を行う。画像評価により撮像の至適タイミングを決定できればそれに即して臨床症例での撮像を行い、臨床症状・疾患とglymphaticシステム機能との関連を評価する。
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Causes of Carryover |
想定していたファントム作成を省略するため、ファントム作成費やデータ解析用のPCなどの費用が使用されておらず、差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降は解析用の画像が取得できるため、データ解析用のワークステーション等の購入に充てる。
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