2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Role of B-cell Activating Factor Family on Post-transplant Chronic Rejection
Project/Area Number |
16K10444
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
辻 昭一郎 東邦大学, 医学部, 非常勤研究生 (70726736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉岡 篤 藤田医科大学, 医学部, 教授 (20171150)
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 教授 (40252449)
吉澤 淳 名古屋大学, 医学部付属病院, 病院講師 (60457984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肝移植 / 拒絶反応 / 免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は移植後の慢性拒絶の発生を予測し、治療するために、免疫寛容と慢性拒絶の機構を明らかにすることである。その為に、マウス肝移植モデルとBAFF関連分子に着目した。 マウスはMHCが異なる系統間で肝移植を行っても、免疫抑制剤を使用せずに免疫寛容が誘導されるため、免疫寛容の機構を解明するのに望ましいモデルであるが、体が小さく、肝移植は技術的に困難である。今回、マウスの肝移植の技術を確たるものとし、免疫寛容の研究に寄与できるようにすることを1つの目標とした。 TNFファミリーのBAFFはそのレセプター共々、B 細胞の分化、増殖に重要な役割を果たす。これらの分子の機能不全は自己免疫疾患を発生させ、またこれらの投与、除去により症状が改善するなど、自己免疫疾患との強い相関が示されている。移植後の慢性拒絶は一旦成立した免疫寛容が破綻するという点で自己免疫疾患と共通点を持ち、BAFF 関連分子が免疫寛容の成立や破綻で大きな役割を果たしている可能性が高い。本研究ではマウスの肝移植モデルを使って、BAFF関連分子の免疫寛容成立時、破綻時における役割を研究することをもう1つの目標とした。 マウスの肝移植としては、初めはラットの移植を行った後、C57BL/6マウス間での肝移植に移行し、更にドナーに組織が脆弱なBalb/cマウスを用いても移植が出来るようにした。肝移植はマウスに強いストレスを与えるため、移植後に長期生存させるのは困難であったが、灌流やカフテクニックを改善して、完全な移植技術を獲得した。またBAFF関連分子の血中濃度や肝臓、脾臓での発現は同種移植においてはコントロールと異なっており、免疫寛容誘導におけるBAFF関連分子の関与が示唆された。 本研究は免疫寛容研究のための強力な手技を確立し、また免疫寛容誘導の機構の解明に寄与する、学問的にも臨床的にも意義のある研究である。
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Research Products
(3 results)