2016 Fiscal Year Research-status Report
食道癌化学放射線療法後に誘導されるT細胞クローン多様性解析と臨床効果に関する研究
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16K10488
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 隆弘 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00323030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 純 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (00281684)
齋藤 さかえ 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (20335491)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食道癌 / 化学放射線療法 / TCRレパトア |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(平成28年度)は一次治療として化学放射線療法を施行した食道癌患者38名の末梢血由来のgenomic DNA、および年齢と性別を一致させた健常人由来のgenomic DNAを解析した。研究計画にある通りの方法に従って、TCR β鎖遺伝子のCDR3領域を増幅し、次世代シークエンサーにより解析、シークエンス結果から同定されるTCRクローンの全体における50%量をしめるクローンの割合(従って最高値は50であり、値が低いほど特定のTCRクローンが増幅していることが示唆される)であるCD50値を算出した。その結果、健常人は43と35であり、これは既報告(ほぼ40前後)と一致した。また、食道がん患者では全体的にCD50値は低下する傾向があった(最初7.3;最大31.3)。さらに治療効果と治療後の生存期間や採血時期について検討したところ、(1)治療後に長期的にCRを継続している症例では遠隔期でのCD50値はほぼ健常人に近い値をとること(30前後)、(2)治療後早期(8ヶ月以内)にCD50値が極めて低値(現時点では12以下)をとる症例では長期のCRを得ていること、(3)治療後に再発をきたすとCD50値は担がん状態と同様の値(20前後)をとる傾向があること、という結果が得られている。このため、現時点での結果ではあるが、化学放射線療法直後に特異的なTCRクローンの増幅が得られた症例では高い治療効果が得られる可能性が示唆されている。また、上記を検証するために、同一症例で時系列的に解析することを今後予定することとした。このため、進行期2-3の症例で一次治療に根治的化学放射線療法を選択した患者6名について、治療前、治療終了直後、終了後3ヶ月、終了後6ヶ月、について採血しgenomic DNAを抽出し、今後の解析に備えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記にように初年度は予定以上に進行していると考えている。すでに38名の解析を終えており、2年目は残り約60例と上記のように時系列的に採血した6例について解析を予定している。特に解析での問題もなく、2年目以降も予定通りの進行を予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記にように2年目は残り約60例と時系列的に採血した6例についてTCRレパトア解析を予定している。特に解析手法での問題もなく、2年目以降も予定通りの進行を予想している。時系列での解析によって、さらに新たな知見が得られる可能性がある。時系列の対象とした6例については、再発例や長期CR継続例が含まれているため、その解析結果が待たれる。
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Causes of Carryover |
初年度は予定取りに研究は進行した。TCRレパトア解析についてトラブルなく進行したため、予定した額よりも少ない金額(試薬類購入金額)により達成できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
余剰分については2年目に繰り越して、残り約60症例分の解析および前記載のように6例の時系列的な解析に使用する予定である。
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