2018 Fiscal Year Annual Research Report
T-Cell Receptor repertoire analyses in patients with esophageal cancer
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16K10488
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 隆弘 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00323030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 純 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 部長 (00281684)
齋藤 さかえ 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (20335491)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食道癌 / 化学放射線療法 / 腫瘍免疫 / T細胞受容体遺伝子 / レパトア解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではCRTを施行された食道癌患者での末梢血および切除後の標本でのTCRレパトア解析研究を行った。対象としては、食道癌に対して一次治療として化学放射線療法 (CRT)が施行された68例については、末梢血由来のgenomic DNAを対象とし、multiplex法によりTCRレパトア解析を行った(iRepertoire)。CRT施行後に根治切除手術を施行された4例については凍結された切除標本の腫瘍部および正常粘膜部からRNAを抽出し、adopter法によってTCRレパトア解析を行った。この理由として、1;根治的CRT後に救済手術になる症例が限られたこと、そのために多くの例で末梢血由来のサンプルで解析する必要があったこと、2;末梢血由来のgenomic DNAがすでに抽出済みであったこと、3;本研究開始後、genomic DNAよりRNAを対象として、特にadopter法によるrepertoire解析での定量性の優位性が指摘されたこと、などがある。 上記の結果として、現時点ではCRTを施行せずに切除手術を施行した症例は1例のみの解析であるが、CRT後の切除例にクローナリティが高いという結果が得られている(Shannon 3.12±0.47, Simpson 14.9±5.77 いずれも平均±標準偏差; コントロールとして手術先行例ではShannon 5.72, Simpson 97.3)。この結果は今後、手術先行例での解析を追加し、論文とする予定である。CRTを施行された食道癌患者で腫瘍部と正常粘膜部に共通するユニークなT細胞クローンが存在すること(図1;CRT後の切除標本でのTCRβ遺伝子。腫瘍への浸潤が少ないもので予後が8.5か月と不良)、特定のクローンが末梢血中に多く確認された症例では、CRT後の予後が良好である可能性が示唆された(図2;末梢血でのTCRβレパトア解析とCRT後の生存。症例数が少ないためにp=0.103であるが、ある指標により完全奏効(CR)例を抽出の可能性)。このように、化学放射線療法の治療効果には腫瘍免疫が強く関与していることが示唆されている。
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