2017 Fiscal Year Research-status Report
逆流性食道炎による食道発癌過程でのエピゲノム変化とがん微小環境の解明とその制御
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16K10493
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮下 知治 金沢大学, 附属病院, 助教 (30397210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 哲生 金沢大学, 医学系, 教授 (40194170)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食道発癌 / 逆流性食道炎 / エピジェネティック / がん微小環境 / メトホルミン |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性炎症と発癌は密接に関連しており、その過程には2つのステップが考えられる。一つは遺伝子のエピジェネティックな制御が異常になること、もう一つは炎症が向腫瘍作用に傾き“がんの微小環境”を形成することである。申請者らはラットを用いて十二指腸液を食道に逆流させる手術を行い約40週間観察すると発癌剤を使用せずに食道癌が発生し、その発癌機序がヒトと同じように組織学的にInflammation-Metaplasia-Adenocarcinoma sequenceによることを世界に先駆けて報告してきた。近年、Ⅱ型糖尿病治療薬であるメトホルミンがpStat3の抑制やTGF-βの抑制効果さらには細胞障害性T細胞の疲弊を解除する効果などを有していることが報告され、免疫抑制性のがん微小環境を改善させることが期待されている。本研究では、この自然発癌モデルを用いて発癌過程における“エピジェネティックな変化”と“がんの微小環境”を解析することを第一の目的に、次にメトホルミンを用いたDrug repositioningによる“がん微小環境の改変”に重点を置いた新規治療の可能性を検討することを第二の目的として実験を計画した。 2年目である当該年度には40週に達した十二指腸胃食道逆流モデルラットを順次屠殺し、標本の採取と評価を行った。個体数が目標数に比べて少ないため、モデルの作製を順次追加し検討することを予定している。また屠殺したラットの食道を用いて、フローサイトメトリーを用いて浸潤細胞を解析した結果、食道へのM2マクロファージは20週、40週と週数を経るごとに浸潤度が増加し、TGF-βやIL-10の産生能も増加することが示唆された。最終年度は個体数の増加に加えて、メトホルミン投与群でも解析を行っていく予定である。さらにマイクロアレイの解析ではHdac5のmethylationが関与している可能性が示唆されており、その他の遺伝子異常についても検討を重ねる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目である当該年度はモデルの作製を追加すると同時に、屠殺されたラットの食道を用いて病理組織学的所見に加えてフローサイトメトリーやマイクロアレイにて順次解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
術後40週に達したラットを順次屠殺し、食道および全身臓器の検索を行い、病理組織学的・分子生物学的に検討を行う。さらにメトホルミン投与群の解析も行い発癌抑制効果とその機序についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
理由:分子生物学的検討のために購入予定であった試薬の一部の購入を来年度に先送りしたため。 使用計画:今年度に飼育期間を終了し、切除組織の分子生物学的検討を行う。次年度使用額はその際の試薬購入に使用する。
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