2017 Fiscal Year Research-status Report
癌関連線維芽細胞に発現するTGF-β誘導性分子を標的とした新規大腸癌治療戦略構築
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16K10553
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
大本 智勝 昭和大学, 医学部, 特別研究生 (10515456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 朱里 昭和大学, 医学部, 准教授 (10338535)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Hic-5 / 大腸癌 / 癌関連線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌は悪性新生物の中でも高齢化や生活習慣の変化に伴いその罹患率,死亡率が増加傾向にある.我々は細胞接着斑アダプター分子である Hic-5 (H2O2-inducible clone-5)がヒト大腸癌組織において癌細胞ではなく癌間質線維芽細胞(cancer-associated fibroblasts, CAFs)に高発現していることを前年度明らかにした.さらに Hic-5 ノックアウトマウスにおいて大腸癌発生がほぼ完全に抑制されたことから,Hic-5 が大腸癌の発生過程に関与していると考えられた.またヒト大腸癌サンプルから分離培養した線維芽細胞および大腸癌細胞株を用いた共培養実験からも,Hic-5 抑制線維芽細胞において癌細胞の増殖が抑制されることが判明した.そこでその詳細なメカニズムとして,本年度は Hic-5 が ECM リモデリングに関与する lysyl oxidase(LOX)およびコラーゲンI の発現を促進することを明らかにした.さらに Hic-5 は線維芽細胞の核内に直接移行することでこれらECM 関連分子の発現を制御することが示唆された.以上の結果より,CAFs 中の Hic-5 が直接核内に移行し ECM 関連分子の遺伝子発現を制御し,腫瘍増殖を促がす癌微小環境を整備することで大腸癌の発生および増殖を制御していると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は計画通りに進んでおり、これまでの結果が癌専門誌に掲載された。引き続きHic-5 欠損による発癌抑制メカニズムの解析を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
CAFs の一般的な機能として ECM のリモデリングや炎症性微小環境形成の他に,隣接する癌細胞の遊走能促進が報告されている.CAF 内の Hic-5 がこれらの癌細胞形質の制御に関与するか,Hic-5 欠損 CAFs と大腸癌細胞株(caco-2)を用い,caco-2 の遊走能に及ぼす影響をボイデンチャンバー法を用いて調べる. またこれまでに TGF-β/ BMP シグナル経路の転写制御因子 Smad4 の変異により,MMP2 や MMP9 などのプロテアーゼの発現上昇を介して腫瘍浸潤が促されることが報告されている.そこで APCΔ716/Smad4+/- マウスを用いて,Hic-5 欠損によるマウス大腸癌発症率の評価を行う.
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[Journal Article] The impact of stromal Hic-5 on the tumorigenesis of colorectal cancer through lysyl oxidase induction and stromal remodeling.2017
Author(s)
Omoto T, Kim-Kaneyama JR, Lei XF, Orimo A, Ohnishi K, Yoshihara K, Miyauchi A, Li S, Gao L, Umemoto T, Tanaka J, Nakahara K, Takeya M, Ishida F, Kudo SE, Haraguchi S, Miyazaki T, Miyazaki A.
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Journal Title
Oncogene
Volume: 37(9)
Pages: 1205-1219
DOI
Peer Reviewed