2016 Fiscal Year Research-status Report
OCT-guided冠動脈バイパス手術の安全性および有用性
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16K10634
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
本田 賢太朗 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60508018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 篤 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50458072)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 冠動脈バイパス術 / 吻合部評価 / OCTデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は①心臓外科用光干渉断層法(OCT)プローベを開発し、②それを用いて冠動脈壁性状を病理学的に準じて診断し、吻合部位を決定する『OCT-guided冠動脈バイパス術』の安全性および有用性について検討することである。 H28年度の計画としては、既存の血管内診断用のOCTプローベをもとに、心臓外科用のOCTプローベを開発し、ブタを用いてその安全性を検証するという計画であった。現在の進行状況としては、既存の血管内診断用OCTプローベを用いて、OCT使用下の自己冠動脈評価について症例を重ねている段階である。冠動脈バイパス術では全例でこのようなデバイスを用いた壁性状評価が必要というわけではなく、また本研究で用いるOCTデバイスが高価であることから、今年度は術前のCTあるいは冠動脈造影検査で吻合部位の決定が難しかった症例のうち、4例に対してOCTを用いて自己冠動脈の性状評価を行いバイパス手術を行った。既存のデバイスを用いた検討だが、いずれの症例においても自己冠動脈の評価は問題なく施行可能であった。しかしながら血管性状評価のtargetととした血管は、左前下行枝領域と対角枝の領域のみであり、回旋枝領域や右冠動脈領域では十分な性状評価は困難だった。近年では多枝病変患者が大部分を占めており、回旋枝や右冠動脈領域に対しても評価を行うためにはやはり既存の血管内カテーテルを使用するのではなく、術中評価用のpencil typeのOCTデバイスの開発が必須であると思われた。 また今年度は多数の学会にも参加し、冠動脈バイパス術の現状、問題点などについても新たな知識を得た。本研究のような至適吻合部位を評価する研究は少なく、pencil typeのデバイスを作成し、だれでも使用可能な道具を開発することは今後の冠動脈バイパス術の治療成績向上につながると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既存のOCTデバイスを用いた評価をもとに手術を施行し、その利便性、有用性について評価を行った。OCTデバイスを用いて評価した症例で吻合困難であった症例はなく、既存のデバイスでのOCTを用いた冠動脈壁性状評価は有用であると思われる。 冠動脈バイパス術の最大の目的である、長期グラフト開存や長期生存に関しては、まだ本研究実施から期間が短いため評価できていないが、症例を重ねて今後中期成績を確認する。 Pencil typeのデバイスの開発に関しては、海外共同研究者とはメールでのやり取りのみとなっており今後実臨床応用にむけて話し合いを進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度の研究で既存のデバイスが有用であることは確認できた。H29年度の計画としては、 共同研究者と共にpencil type あるいはより使用しやすい形態のデバイス開発を行う。 また実際のデバイスが完成した場合は、実際の使用具合や、現在用いている既存のデバイスでは評価できていない回旋枝領域や右冠動脈領域についても評価が可能なのかを検討していく必要がある。 前下行枝領域だけでなく他の領域の評価も可能となれば、より汎用性の高いデバイスになると思われる。
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Causes of Carryover |
年度末の3月に、OCTを用いた評価が最適な症例がありデバイスを購入したこと、冠動脈疾患治療の新たな知見を得るために、国際学会に参加した費用が重なり今年度分の計画を超えることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度購入予定の解析用サーバーの額を減じるなどの方法で、次年度計画した金額を超過しないように調整を行う予定。
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Research Products
(1 results)