2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K10656
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
椎谷 紀彦 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00250449)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脊髄虚血 / 運動誘発電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈外科手術に伴う脊髄虚血障害を防止するためのモニタリング法として広く用いられる経頭蓋運動誘発電位(TC-MEP)の弱点を解決出来る方法として、経食道脊髄刺激による運動誘発電位(TE-MEP)を考案し、イヌを用いた動物実験において優位性を報告してきた 。しかし従来の単極食道電極と皮下電極の組み合わせによる頸髄刺激では、上肢前角motor neuronをsynapseを介さずに直接刺激してしまうため、上肢運動が過大となること、上肢筋電図を下肢筋電図のreal time controlとして使用できないこと、が弱点となった。本研究では、TE-MEPのこれらの弱点を解決し、臨床応用可能な方法を確立するため、食道双極刺激による胸髄刺激の実現可能性、有用性を検討した。 初年度は、食道双極電極によるTE-MEPの実現可能性を確認後、食道双極刺激を頸髄と胸髄で行い、TC-MEPならびに単極頸髄刺激との間で、上肢運動・波形の比較を行い、双極胸髄刺激では上肢の過大な運動は見られず、波形もシナプスを介したものであり、TE-MEPの利点であるsupramaximal intensity刺激も可能であることを確認した。さらに、Th8-10レベルの10分間大動脈遮断による可逆性脊髄虚血モデルを用い、虚血再灌流に対する双極刺激TE-MEPの反応性を、TC-MEP、単極TE-MEPと比較した。 本年度は、この可逆性脊髄虚血モデル実験を継続し、双極刺激も単極同様、TC-MEPより反応が速いことを確認した。次いで、上位脊髄不可逆虚血モデル(T3-5レベルの25分間大動脈遮断)を用い、予後との相関を検討した。この結果、双極刺激も単極同様、TC-MEPよりTE-MEPの方は不全対麻痺との相関が良好であることを確認した。 これらの成果は、5月の米国胸部外科学会にて発表し、現在論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験はほぼ計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
既発表データの論文化を完成させる。 臨床応用のため、臨床研究を立ち上げており、経食道エコー検査を併用する臨床例に適した刺激電極の作成、ならびにヒトとイヌの解剖学的差異による結果の違いを検討する。 その成果を発表する。
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Causes of Carryover |
米国における国際学会発表の旅費を計上し忘れたため、その分が未使用となった。 この分は、臨床応用可能な刺激電極開発(製作を企業依頼し、試作品を動物で検証した後に完成品を臨床研究にて使用しているが、single use deviceであり、また形状の改良の都度動物における検証が必要)の経費に充当する。
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