2017 Fiscal Year Research-status Report
高感度MRIを用いた骨髄由来細胞動態追跡による脳梗塞病態進行メカニズムの解明
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16K10721
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉本 香奈 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00581034)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 磁気共鳴イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞は医療の進歩等により死亡率は減少したものの、日本人の死因で上位を占めている。また、一命をとりとめても何らかの機能障害を残すことの多い疾患である。しかしながら、急性期を対象とした治療法はあるものの、発症後期を対象とした有効な治療法はほとんどない。従って、脳梗塞の病態進行のメカニズムを解明することが、発症後期でも効果的な治療法の開発につながる可能性がある。 脳梗塞発症後のモデルマウスの中枢神経系内の細胞の移動を単一細胞で追跡するために超高磁場11.7T MRI(磁気共鳴イメージング)を用いて撮影した。MRIにより観察可能な造影剤(磁性粒子)を用いて細胞動態を観察した。その結果、脳虚血障害領域と細胞動態追跡画像を組み合わせることにより免疫細胞が浸潤する様子を観察することができた。この技術によりin vivoでも非侵襲的に1細胞レベルでの動態追跡が可能となった。 現在は、上記の結果から捉えられた脳梗塞発症後期に梗塞巣へ出現してくる免疫細胞が病態進行に及ぼす影響について分子細胞レベルでの検討を行っている。脳梗塞発症後、予後良好または不良ラットから単離した梗塞巣集積細胞には明らかな形態変化があることを発見した。これらの細胞の詳細な機能解析を行うことにより、免疫細胞と病態形成の関係性及び病態形成機序の解明につなげたい。 これらの手法を用いて、脳梗塞の病態進展のメカニズムを生体において1細胞レベルで評価し、脳梗塞の新しい治療法の開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスを用いて免疫細胞動態を観察することができた。しかしながら、共同研究者の異動等に伴い、研究環境の確立および技術の習得に時間を要した。次年度は、当初の計画以上に推進する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、梗塞巣に集積が確認された免疫細胞と病態形成の関係性を明らかにするために脳梗塞モデルラットの予後の重症度別にそれぞれ梗塞巣集積細胞を単離し、機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初の予定より研究計画に遅延が生じたため。 (使用計画) 細胞培養用の器具を購入予定。
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