2018 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞ラットに対するヒト頭蓋骨骨髄間葉系幹細胞移植
Project/Area Number |
16K10724
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡崎 貴仁 広島大学, 病院(医), 助教 (60437613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弓削 類 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (20263676)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生医療 / 脳梗塞 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、ヒト頭蓋骨由来ヒト間葉系幹細胞(hMSCs)とヒト腸骨由来間葉系幹細胞(hiMSCs)との細胞学的特徴と脳梗塞モデルラットへの移植効果を比較検討しました。細胞学的特徴を検討するため、real-time PCR法で、神経堤マーカー(snail,slug,p75),神経栄養因子(BDNF,VEGF)の発現を解析したところ、神経堤マーカー,神経栄養因子の発現はhiMSCsに比べhcMSCsで高い結果が得られました。さらに、脳梗塞モデルラットへの移植効果を検討するため、脳梗塞モデルラットを作製した後,1.0×106個のhcMSCsもしくはhiMSCsを脳梗塞作成3時間もしくは24時間後に尾静脈から投与し、コントロール群も含め、運動機能を評価しました。脳梗塞モデルラットの運動機能は、脳梗塞24時間後の投与では,hcMSCs,hiMSCsともにコントロール群と同等でしたが,脳梗塞3時間後の投与では,hiMSCsやコントロール群にくらべ、hcMSCsの投与で改善しました。この結果をふまえ、In vitroでhcMSCsの神経保護効果を検討するため、NG108-15(Neuroblastoma×glioma hybrid cell)に模擬脳虚血として,炎症,酸化ストレスを3時間もしくは24時間加えたのち、hcMSCsもしくはhiMSCsの培養上清を加え、24時間後のNG108-15の生存率を、コントロール群も含め、解析したところ、hcMSCs培養上清は、ストレス暴露後NG108-15の生存率を改善していました。hcMSCsは、hiMSCsに比べて、神経堤マーカーや神経栄養因子の発現が高いため、虚血によって生じる神経損傷に対して高い神経保護効果が期待され,脳梗塞早期の投与で効果的な機能改善が見込まれることが判明しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定された研究が行われ、hiMSCsにくらべ、hcMSCsの方が、神経堤マーカーや神経栄養因子の発現が高く、脳梗塞モデルラットへの移植効果が高いことが判明しました。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究では、脳梗塞モデルラットへhcMSCsを移植することで、運動機能が改善することが判明しました。ただ、ヒト由来の間葉系幹細胞をラットへ移植した異種移植であり、臨床応用に向けて、今後、ヒトからヒトへの同種移植での移植効果の検討が必要であると考えます。
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Causes of Carryover |
脳梗塞モデルラットへ投与したhcMSCsが、脳梗塞巣に到達しているかどうか検討するため、PKHで標識したhcMSCsを脳梗塞モデルラットに投与した後、脳切片を摘出し、局在を確認する予定にしています。また、研究成果について、学会発表や論文作成にて報告する予定です。そのため、次年度使用が生じております。
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