2016 Fiscal Year Research-status Report
実体モデルを用いた手術シミュレーションのためのシステム構築
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16K10799
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
益子 敏弘 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90275701)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 3Dモデル / 手術シミュレーション / 3Dプリンター |
Outline of Annual Research Achievements |
3D実体モデルを用いた手術シミュレーションを約40例に対して行った。内訳は、脳腫瘍摘出術約20例、脳動脈瘤クリッピング術約10例、微小血管減圧術4例、先天性疾患4例などであった。シミュレーションは、(1)従来のモデルと、それに対応する(2)手術操作に直接関与しない構造をあえて省略したモデルおよび(3)観察できない部分を見ることができるモデルを用意して行った。並行して、上記(1)(2)(3)モデルの評価を行った。具体的には、使用者から以下の点を聞き取り記録した。術野の解剖(構造)の理解のしやすさ、操作性、人体とモデルの質感の異同、シミュレーションと実際の手術の異同、総合的な有用性、改良すべき点、などである。また、若手医師の手術トレーニングに用い、脳圧排、くも膜剥離などの項目ごとに習熟度を評価し、経時的変化を分析した。この結果は、Journal of Surgical Educationに発表した(印刷中)。 認知心理実験(モニター上の3D画像と、それに対応する実態モデルを複数個用意し、両者の異同を判別する実験)の準備として、モデル作製の過程で作成されるモニター上の3D画像を編集しており、約10例分を完了した。また、実験に用いる上記以外のtaskの候補を挙げ、最終的に用いるtaskを選択しつつ、実験に用いる装置のテストを行っている。さらに、神経生理の予備実験として、(1)負荷なしおよび(2)指定された解剖学的構造を指し示すtask中のNIRS(Near-InfraRed Spectroscopy)測定を行った。 ここまでの成果は、後記の論文・学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の方法によるモデル作製は実績があるので問題なく進捗している。本研究では、比較検討のために同一症例に対して複数のモデルを作製している。したがって、症例当たりの作製時間はやや長時間を費やしている。現行モデルの評価は以前より行っているので、同様の方法で大きな問題はなく進捗している。心理実験および神経生理学実験は機器およびモデル等の準備と予備実験の段階であるが、問題なく進行している。今後予定通りの実験が行える見通しがついた。また、モデルの材質改良のための調査を行っている。特に、軟質素材の開発を行っている業者に試作品を用意してもらい、改良のためのディスカッションを10回程度行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現行モデルの評価を集計し、共通の改良点を決定する。 その結果をもとに、平成29年度は、現行モデルと改良モデルの両者を用いた手術シミュレーションを行う。心理実験および神経生理学実験を計画に従い本格的に行う。すでに予備実験では予想された結果を得たので、客観的なデータを出すべく、症例数を増やす予定である。 研究計画の変更はない。また、解決すべき新たな課題もない。
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Causes of Carryover |
機器の一部が未購入のため。また、消耗品の年度内必要量が予定よりも少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に使用する。具体的には、3Dスキャナー購入および3Dモデルの材料購入など。
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