2016 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷に対する骨髄幹細胞移植直後からの神経機能回復のメカニズムの解析
Project/Area Number |
16K10830
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
押切 勉 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70754612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
山下 敏彦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70244366)
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20538136)
森田 智慶 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60723343)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 急性期 / 脊髄損傷 / 再生医療 / 骨髄幹細胞 / 機能回復 / 治療メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、我々(札幌医科大学)は、脊髄損傷患者に対する骨髄幹細胞(MSC)移植を医師主導治験で行っており、今まで経験したすべての症例において、移植直後からの神経症状の改善を観察している。この治療効果をもたらすメカニズムは、損傷脊髄部に集積したMSC により産生される神経栄養因子による神経保護作用(Osaka et al., 2010)、および移植MSC による血液脊髄関門(BSCB)の破綻によって生じた損傷部周囲浮腫の抑制であると考えている(Matsushita et al., 2015)。本研究では、損傷組織内の神経栄養因子の経時的な測定と損傷された血液脊髄関門の安定化と修復の過程を詳細に評価することで、臨床において観察される移植直後からの機能回復のメカニズムを解析することを目的とする。 現在までに、本研究費によって、ラット脊髄圧座モデルを作成し、胸髄(Th9)レベルに直接損傷を加えるモデルを作成している。行動評価の解析により骨髄間葉系幹細胞移植群はコントロール群に比し、麻痺の改善が得られる傾向にある印象であり、今後は動物数を増やして、統計学的解析を行う予定である。モデルの脊髄組織の損傷部位を用いて、ELISA法による神経栄養因子の蛋白測定を経時的に行ったところ、比較的早期に神経栄養因子が増加する傾向にあり、骨髄間葉系幹細胞移植群が有意に増加する印象にあった。また、モデル脊髄組織を用いて、組織学的な解析法を並行して行っており、免疫組織化学染色および電子顕微鏡学的解析を継続している。また、MRIのDTIを用いたラット脊髄の画像解析も実施しており、移植により脊髄神経線維数の数の変化を解析している。 以上のように、補助金は補助条件に従って、有効に使用されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
麻酔下にラット実験的脊髄損傷(脊髄圧座)モデルを作成し、培養した骨髄間葉系幹細胞を移植した後に、急性期における行動学的・組織学的・生化学的解析を経時的に行っており、データ収集を順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット脊髄損傷モデルに対する骨髄間葉系幹細胞移植により、脊髄における神経栄養因子が有意に増加している印象であり、細胞移植治療メカニズムに関与していることが示唆されている。今後は組織学的・画像学的検査を行い、機能回復に貢献するメカニズムの解析を推進する予定である。さらに研究計画に従って、より治療効果の得られる骨髄間葉系幹細胞移植方法の開発を進める予定である。
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Causes of Carryover |
科研費の交付決定が遅れたため、当該年度使用する期間が数か月間と限定されたため、使用額が少なくなり、次年度使用額が大きく生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額に応じて研究費用を計画的に使用する予定である。
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