2017 Fiscal Year Research-status Report
末梢神経疾患における骨格筋マルチパラメトリックイメージング法の臨床応用の開発
Project/Area Number |
16K10831
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
松田 希 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90726457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 均 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00325292)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨格筋マルチパラメトリックイメージング / Whole-body MRI / Dixon法 / IVIM法 / 定量評価 / 筋疾患 / 末梢神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、末梢神経疾患を含む神経筋疾患における骨格筋マルチパラメトリックイメージング法の開発を目的としている。①Whole-body MRIを用いた様々な末梢神経疾患における脱神経筋のマッピング、②骨格筋マルチパラメトリックイメージング、イメージングバイオマーカーの創出、③イメージングバイオマーカーの有用性の検討を軸に研究を進めている。 本年度は、昨年度に確立したwhole-body MRIの撮像法(プロトコール)で、各種の神経筋疾患を対象とした。平成30年3月末までに神経筋疾患患者21例で実施した。遺伝性感覚運動ニューロパチー(CMT):4例、ギラン・バレー症候群(AMAN):1例、アレルギー性多発血管炎性肉芽腫症:1例、慢性炎症性脱髄性多発神経根炎(CIDP):3例、多巣性運動ニューロパチー(MMN):2例、球脊髄性筋萎縮症:1例、neurolymphomatosis:1例、皮膚筋炎(抗ARS抗体症候群):4例、免疫介在性壊死性ミオパチー:1例、孤発性封入体筋炎:3例である。 ①に関してはWaardenburg症候群合併のCMT 1Aの1例、neurolymphomatosisの1例において、末梢神経肥厚分布と脱神経変化を詳細に検討した。ほか、CMT、MMN、CIDPなどの慢性ニューロパチーで脱神経分布を比較検討した。 ②③に関しては抗PL-7抗体陽性の皮膚筋炎において、これまで注目されていなかった腹筋群を含む体幹筋の炎症性変化を検出した。また治療後変化を半年後に再検し、バイオマーカーとしての有用性を確認した。定量的方法としては、骨格筋脂肪変性をDixon法を用いて検討した。また、急性期の骨格筋変化(炎症・急性脱神経変化)の定量としては、IVIM法(intravoxel incoherent motion imaging)による解析を開発中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Whole-body MRIを用いた末梢神経筋疾患、筋疾患における全身骨格筋の評価の有用性に関する検討は順調に進捗している。現在のプロトコールで30分程度で1回の検査を終了し、場合2回にわけることで臨床的に身体的・精神的負担をかけないことを確認した。また疾患をベースに必要な撮像法に特化し時間を短縮することも検討中である。 今回、炎症性筋疾患における体幹筋の障害に関して新規知見を得ることができた。従来、炎症性筋疾患(多発筋炎、皮膚筋炎、免疫介在性壊死性ミオパチー、孤発性封入体筋炎)における体幹筋障害の関する報告はなく、その頻度などは今後の研究課題である。 神経筋疾患の慢性期にみられる脂肪変性の定量に関してはDixon法による評価を確立できた。特に遺伝性末神経障害(CMT)ではlength-dependentな脱神経変化に伴う脂肪変性を冠状断で確認した。今後、疾患の自然史および治療薬開発時のバイオマーカーとして利用するために、簡便かつ汎用可能な臨床に則した方法の確立を目指す。 現在の課題は神経筋疾患の急性期にみられる変化の定量評価である。IVIM法を用いた神経筋疾患における骨格筋内のD(細胞内拡散)、D*(微小循環)、f(毛細血管容積)の定量評価を試みている。急性脱神経変化、急性期筋炎ともに筋組織での微小循環増加を生じており、この微小循環変化の検出がポイントである。昨年度の研究をもとに、IVIM撮像時のb値の設定を変更し(これまでのb値(s/mm2)0、20、40、60、150、300、600のみでなく、800、1000を追加した)、健常人で下腿三頭筋において運動負荷後の微小循環増加を検出した。今後、神経筋疾患での検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
Whole-body MRIによる検討:①CMT、CIDPなどの多発ニューロパチーにおける脱神経変化のマッピングを進める。②炎症性筋疾患における体幹筋を含む全身の炎症性変化の検討を進める。 イメージングバイオマーカー(定量評価を含む)の検討:①慢性脱神経変化などで生じる骨格筋の脂肪変性の評価を確立する。具体的には臨床で簡便に利用できるT1強調画像による脂肪変性の定性評価に加え、Dixon法を用いた脂肪変性の定量評価を確立する。②IVIM法による神経筋疾患の急性期変化、活動性変化の定量法の開発を進める。③活動性のあるCIDPと治療により寛解したCIDPのSTIR画像を比較し、CIDPのような慢性神経疾患において、残存する疾患活動性の有無(治療必要性の有無)を簡便に検出できるかを検討する。 以上を達するに際し、対象としてしている神経疾患の希少性が問題点であるが、共同研究者と連携し対象者を募り、末梢神経疾患、筋疾患のにおける検討をさらに進捗させる。
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Causes of Carryover |
次年度は研究最終年度であり、さらに最大限度の努力をして、対象患者を増やす必要がある。これに際し被験者謝金、MR装置使用料が必要になる。また、IVIM法の関連での解析ソフト購入を予定している。 学会発表に加え、これまでの成果の論文投稿を行う。具体的には、①Waardenburg病を合併した重症化したCMT1A病の神経肥厚と骨格筋脱神経変化に関する検討、②2016年に原因遺伝子が同定されたCMT2Tにおける骨格筋脱神経変化の検討、③CMT1とCMT2の骨格筋脱神経変化の差異の検討、④坐骨神経に腫瘤性病変を形成したneurolymphomatosisにおける神経肥厚とこれに伴う脱神経変化の詳細な検討、⑤これまで留意されてこなかった炎症性筋疾患の急性期における腹筋群を含む体幹筋障害についての検討、炎症性筋筋疾(多発筋炎、皮膚筋炎、免疫介在性壊死性ミオパチー、孤発性封入体体筋炎)の中における体幹筋障害の差異の検討などがある。⑥そして本研究全体の総括である。これらのために学会参加、論文等に関する費用が必要である。
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Research Products
(2 results)