2018 Fiscal Year Research-status Report
Wnt/β-catenin経路を介した分子標的治療の開発と抗腫瘍メカニズムの解明
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16K10850
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山本 憲男 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任教授 (90332668)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | GSK3β阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子標的薬の一つであるGSK3β阻害薬は,リチウムやシメチジンといった双極性障害や胃潰瘍など,他の疾患で安全に使用されている薬剤であり,この適用はdrug repositioningの範疇に属し,早期臨床応用が可能であると考えられる.本研究では,GSK3βを標的とする軟部肉腫の新しい治療法開発のための基礎的研究を行い,早期臨床応用へむけて研究開発を行うことを目標に,平成30年度の研究実績として下記,研究を遂行した.これまで,GSK3β阻害薬の持つ抗腫瘍効果について明らかにしてきたが,その機序を解明するために,腫瘍細胞遊走・浸潤能の検討と,活性型MMP-2発現との関連について検討を行った.まず,腫瘍細胞の遊走・浸潤能の検討についての検討では,Collagen gel assayを用いて,実際に腫瘍細胞がゲルを分解して脱出するのか検討を行った。その結果,腫瘍細胞は正常線維芽細胞に比してゲル外への脱出を認めていたが,阻害剤投与によりその脱出細胞数が抑えられていることが明らかとなった.次に,活性型MMP-2発現との関連をGelatin zymographyで解析した.その結果では,活性型MMP-2の発現を腫瘍細胞内で認め(正常線維芽細胞内では活性型MMP-2の発現は認めなかった),その活性は阻害剤投与により抑制されていた.このことより,GSK3βは腫瘍細胞の遊走・浸潤能に関連しており,その機序として活性型MMP-2が関連している可能性が明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究計画通り,GSK3β阻害薬の持つ肉腫細胞に対する抗腫瘍効果を明らかにするとともに,正常細胞に対する安全性を明らかとすることができた.また作用機序についても,活性型MMP-2の制御が関連していることを明らかとした.抗腫瘍効果,安全性,作用機序につき順次明らかとすることができており,研究はおおむね順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,追加実験を行いこれまでのデータの正確性を確認するとともに,これまで行ってきた研究結果をまとめ,英文誌に投稿を行う予定である.
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