2016 Fiscal Year Research-status Report
骨軟部腫瘍への免疫遺伝子を搭載した増殖型ウイルスの開発
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16K10869
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伊地知 暢広 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (80380624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小戝 健一郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90258418)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解性ウイルス / 骨・軟部腫瘍 / 遺伝子・ウイルス治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌に対する遺伝子治療において、癌特異的増殖型アデノウイルス(CRA)の開発が期待されており、我々は多因子制御により癌を特異的に治療可能な、m-CRAという次世代ウイルスベクターを開発した。特にその第一弾として開発したSurvivin反応性m-CRA(Surv.m-CRA)は、ほぼ全癌種で高発現しているSurvivin遺伝子のプロモーターを用いており、ウイルス増殖とウイルスタンパク質によるアポトーシスが癌細胞特異的に誘導される。これまでの基礎研究及び非臨床試験等の実績を基盤とし、現在First-in-humanの医師主導治験を実施中である。 骨軟部腫瘍は、特に転移性癌での高い致死性と相まって患者予後が不良である一方、外科手術以外の有効な治療法がなく、革新的な治療法の開発が切望されている。そこで本研究では、本Surv.m-CRAにサイトカイン遺伝子などの免疫活性化因子を搭載し、原発巣のみならず、転移巣をも治療可能な新規免疫ウイルス治療薬を開発する。平成28年度は、免疫活性化遺伝子搭載Surv.m-CRAベクターの構築を行う一方で、in vivoにおける有効性、安全性を精密に評価可能なハムスター担癌モデルを構築した。 1)免疫活性化を誘導する候補遺伝子の絞り込みを行い、マウス、ヒト、ハムスター由来のそれぞれのcDNAのクローニングを行った。 2)免疫活性化遺伝子のin vitroにおける至適発現レベルを実現するプロモーター候補の絞り込みを行い、ハムスター由来細胞におけるプロモーター活性を検討した。 3)ハムスター由来がん細胞をハムスターに移植した同種移植担癌モデルを構築し、腫瘍増大能、転移能、生存への影響などの基礎データを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、免疫活性化遺伝子搭載Surv.m-CRAベクターの構築を行った。まず、免疫活性化を誘導する候補遺伝子の絞り込みを行い、マウス、ヒト、ハムスター由来のそれぞれのcDNAのクローニングを行った。次に、免疫活性化遺伝子のin vitroにおける至適発現レベルを実現するプロモーター候補の絞り込みを行い、ハムスター由来細胞におけるプロモーター活性を検討した。加えて、ハムスター由来がん細胞をハムスターに移植した同種移植担癌モデルを構築し、腫瘍増大能、転移能、生存への影響などの基礎データを収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した種々の免疫活性化遺伝子搭載Surv.m-CRAについて、in vitroにおける免疫活性化遺伝子の発現レベル、細胞傷害効果を明らかにする。さらに、ハムスター担癌モデルにおける、腫瘍抑制効果、生存曲線解析、全身性免疫の誘導能などを評価し、より治療効果と安全性の高いプロモーターと免疫活性化遺伝子の組み合わせを検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画は基本的におおよそ順調に進んでいるが、候補遺伝子及び候補プロモーターをより幅広く検討することが重要と考えたため、その結果、実験実施時期を移行し来年度での使用予定に変更したものや、試薬・消耗品の一部変更により誤差が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記変更に伴い、多くの候補ベクターの中から絞り込んだ最適組み合わせの検討に必要な物品費等に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)