2017 Fiscal Year Research-status Report
軟骨・血球分化とがん抑制に関わるスプライシング制御機構の研究
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16K10887
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 敏之 東京大学, 医学部附属病院, その他 (80322759)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 選択的スプライシング / SRSF / 血液型D抗原 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
RhDのexon 7の選択的スプライシングにnegative に作用する因子の候補として同定したSRSF3であるが、RNA-pulldown やRNA-EMSAの系でexon 7 への直接の結合を証明することはできなかった。exon 7 に直接結合作用するSRSF分子をより効率よくスクリーニングするためにSRSF1-SRSF12, TRA2BのFlag-tag付きの強制発現系を作成した。これを293に強制発現して細胞質分画を抽出、exon 7 との特異的結合をRNA-pulldown の系で検証中である。またp63の選択的スプライシングを利用したカセットベクターを用いてexon 9 の1270G>A変異が既報のとおりエクソンスキップを生じることを確認した。一方欧米人に多いDel変異M295Iについてはエクソンスキップは生じず従来いわれているようにアミノ酸変異による膜局材能の消失による表現型であると考えられた。軟骨分化、ガン抑制、アポトーシスなど多様な作用をもつp63分子に着目しexon 12-14 (βisoformの選択的スプライシング)以外に、exon 10-11(γisoform の選択的スプライシング)、exon 10-14のGFP-tag付きミニ遺伝子を作成した。さらにこのC末端にHalo-tagをつけてRT-PCRの特異性を高めるとともにDual-reporter system にて選択的スプライシングでHalo蛋白が消失する系を作出した。これらをHeLa 細胞に安定導入した。この系を用いてスタウロスポリンによるアポトーシス刺激でγisoformへのスプライシングスイッチが生じることを見出した。軟骨細胞分化モデルのATDC5でも同様に安定導入細胞の作成を行い、選択的スプライシングがRT-PCRで検出可能か検証作業中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RhD遺伝子について頻度の高い既知の2つの変異についてスプライシングアッセイを行い、片方が既報通りスプライシング異常であることを確認、もう一方はスプライシング異常ではないことを新たに確認した。一方RhD exon 7 に結合するSRSF分子については予定していた方法で十分特異的な結合能をもちかつスプライシングにpositive に働く分子を同定できず、Flag-tag付の強制発現系で新たにスクリーニングを行う方針に変更となった。p63のスプライシング解析用のミニ遺伝子についてはexon10-14 を含む完全長のミニ遺伝子を含む3種類のDual-reporter vectorの作成、さらに安定導入細胞株の作出に成功し、一部機能解析まで行うことができた。一方、当初予定していたVHL遺伝子やEMX2遺伝子については時間的および予算的制約から、ミニ遺伝子作成以降の作業を行うことができなかった。以上のように予定通りの進捗状況のもの、予定以上の成果が得られたもの、予定通りに実施できなかった部分が混在しており、全体しておおむね順調に進展しているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
RhD遺伝子についてはInternational Society of Blood Transfusion のデータベースなどから代表的な変異部位の情報を収集・整理して順次site directed mutagenesis によりスプライシングアッセイ用のミニ遺伝子カセットを作成する。mutagenesis のtemplate となるwild type の各exon 周囲配列はすでにcloning 済みである。作成したスプライシングアッセイ用のミニ遺伝子を293細胞に一過性に導入しスプライシングパターンの変化の有無を調べることで、データベース上の変異がミスセンスなのか、それともスプライシング異常の可能性が高いのか検証を行う。RhD遺伝子のexon 7に特異的に結合し、その正常なスプライシングに寄与するSRSF分子の同定のため、Flag-tag付の強制発現蛋白を用いたRNA-pulldown でスクリーニングを行う。同定したSRSFについて内在性分子の結合を特異抗体を用いたRNA-EMSAやRNA-pulldownの系で確認する。p63のスプライシング検証用のミニ遺伝子を安定導入したHeLa, ATDC5を用いて薬剤投与や遺伝子導入によるアポトーシスモデル、軟骨分化モデルにおけるスプライシングパターンの変化を観察する。化合物のミニライブラリを用いてp63の選択的スプライシングを変化させる分子のスクリーニングを行い、将来的な創薬へ向けた基礎データを得る。可能ならばEMX2やVHLのミニ遺伝子カセットについても安定導入細胞を作出し、同様の解析を行う。
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Causes of Carryover |
今年度予定のスプライシング解析用の安定発現細胞株の作成作業の一部を次年度に持ち越したため次年度予算とあわせて必要物品を購入することにした。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Pilot study on novel blood containers with alternative plasticizers for red cell concentrate storage.2017
Author(s)
Morishita Y, Nomura Y, Fukui C, Kawakami T, Ikeda T, Mukai T, Yuba T, Inamura KI, Yamaoka H, Miyazaki KI, Okazaki H, Haishima Y
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Journal Title
PLoS One
Volume: 12
Pages: e0185737
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Targeting gene expression to specific cells of kidney tubules in vivo, using adenoviral promoter fragments2017
Author(s)
Watanabe S, Ogasawara T, Tamura Y, Saito T, Ikeda T, Suzuki N, Shimosawa T, Shibata S, Chung UI, Nangaku M, Uchida S
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Journal Title
PLoS One
Volume: 12
Pages: e0168638
DOI
Peer Reviewed