2017 Fiscal Year Research-status Report
手術を伴わない低侵襲な関節軟骨修復を実現する再生医療技術の基礎的研究
Project/Area Number |
16K10918
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高尾 昌人 帝京大学, 医学部, 教授 (30263536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 博隆 帝京大学, 医学部, 教授 (20345218)
三木 慎也 帝京大学, 医学部, 助手 (70647982)
宮本 亘 帝京大学, 医療技術学部, 准教授 (30437553)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 関節軟骨 / 間葉系幹細胞 / 再生医療 / ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、動物を用いた関節軟骨損傷モデルに対して間葉系幹細胞(以下MSC)とヒアルロン酸(以下HA)を関節内注射し、良好な軟骨再生を得た報告が散見される。しかし、その注射回数は1~3回と様々で、単回注射と複数回注射のどちらがより有効かは明らかにされていない。そこで我々は、イヌ膝関節を用いた関節軟骨損傷モデルに対して、滑膜由来の間葉系幹細胞(以下SMSC) とHAの関節内注射を単回もしくは複数回行い、単回注射と複数回注射のどちらがより有効か検証した。ビーグル雄成犬12頭24膝関節を対象とし、注射回数により3群に分けた(Group1:乳酸リンゲル液1mlを単回注射、Group2:SMSC5000000;個+0.01%HA1mlを単回注射、Group3:SMSC5000000個+0.01%HA1mlを1週間おきに3回注射)。全例、大腿骨内側顆の荷重面に径4mmの軟骨半層欠損を作製し、同時に滑膜を採取した。滑膜からSMSCを分離して培養し、術後7週でSMSCとHAの混入製剤を関節内注射した。最終注射後12週でイヌを安楽死させ標本を採取し、肉眼的評価と組織学的評価を行った。その結果、Group2とGroup3は、いずれもGroup1と比較して有意に良好な治療成績が得られた。しかし、Group2とGroup3の間には有意な差がなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
HAとMSCの混入液が関節軟骨損傷に与える影響について、単回投与と複数回投与では治療成績に差がない可能性が示唆された。しかし、当初の研究課題であった「HAの濃度が細胞の遊遊走能に影響を与える」という仮説については未だ立証できていない。このため、現時点では、HAの濃度が軟骨損傷の治療成績に影響を与えるか否かを明らかにできていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプル数を増やして再検討する必要がある。また、細胞の保存条件などが細胞の遊走能に影響を与えた可能性もあるため、細胞の培養方法や保存条件についても再検討する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初予定していた実験計画に遅れが生じたため、未使用金が発生した。 (使用計画) 実験計画を再検討し、適切な使用計画を立案する予定である。
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