2016 Fiscal Year Research-status Report
シナプス内外のNMDA受容体シグナル伝達機構の違いに注目した新たな脊髄保護戦略
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16K10960
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松本 美志也 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60243664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 洋一 山口大学, 大学研究推進機構, 教授 (80274158)
石田 和慶 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80314813)
若松 弘也 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (80379966)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脊髄虚血 / 家兎 / NMDA受容体 / ZL006 |
Outline of Annual Research Achievements |
家兎一過性脊髄虚血モデルを用いて、シナプス外NMDA受容体より下流の伝達にかかわると考えられているPSD-95の阻害薬であるZL006の神経保護効果を検討した。 【方法】家兎を 3群(各n=6 )に分けた。イソフルランで麻酔を導入し、気管挿管を行い人工呼吸を開始した。イソフルランとフェンタニルによる全身麻酔下に、経後腹膜的に左腎動脈直下の大動脈をテーピングし、 15 分間遮断した。再灌流直後、ZL006高用量群ではZL006を1.5 mg/kg(DMSO 1mLに溶解)、低用量群では0.75 mg/kg(DMSO 1mLに溶解)、対照群では溶媒(DMSO 1mL)を腹腔内投与した。再灌流 後7 日間、後肢運動機能を5 段階(4:正常、3:跳躍できるが正常ではない、2:後肢はよく動くが跳躍できない、1:後肢がわずかに動く、0:後肢の完全麻痺)で評価した。クルスカルワリス検定を用いP<0.05 で有意とした。 【結果】再灌流7日後の後肢運動機能は、ZL006高用量群(1:4匹、0:2匹)、ZL006低用量群(3:1匹、2:1匹、0:3匹)、対照群群(1:2匹、0:3匹、1匹は再灌流後に痙攣様の発作を繰り返し死亡)となり3群間で明らかな有意差を認めなかった。 【結語】本モデルではZL006の脊髄保護効果は認められなかった。ZL006は局所脳虚血モデルで保護効果が報告されており、その研究では0.75 mg/kgより1.5 mg/kgの保護効果が強かった。脊髄虚血モデルは局所脳虚血モデルより虚血侵襲が強いと考えられており、強い虚血侵襲ではZL006の保護効果は認められないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画に沿って、脊髄保護効果が最も強いと予想されたPSD95阻害薬の保護効果に関してoutcome studyを行った。結果はnegativeであったが、研究の精度に関しては満足のいくものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、細胞障害を起こす可能性のある他のシナプス外NMDA受容体のシグナル伝達の中で、death-associated protein kinase 1→p53の経路についてoutcome studyを行う予定である。
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