2016 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージの内在性レトロウイルス応答調節と血管保護による多発性嚢胞腎進展抑制
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16K11058
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
石橋 道男 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40107032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東原 英二 杏林大学, 医学部, 特任教授 (00092312)
長尾 静子 藤田保健衛生大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (20183527)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多発性嚢胞腎 / PCKラット / ベンゾイソフラノン化合物 / 内在性レトロウイルス / 血管保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度平成28年度の研究成果は、第一に、外部委託によるベンゾイソフラノン誘導体NK0070 の委託合成に成功したことである。合成にあたっては、本化合物発明者のひとりである京都薬科大学小島直人先生と平成28年度単年度の外部受託委託契約を結ぶことで、外部合成委託先の株式会社ナード研究所(神戸市)と合成方法を共有でき、両者の共同作業により長年におよぶ困難な合成を成し遂げることができた。本化合物の合成には契約締結の平成28年5月から完成するまでの平成29年1月末までの期間を要した。その理由は、合成の期限を定めないことを条件に科研費の枠内150万円プラス消費税で安価な契約となったこと、くわえて、NK0070の合成に難渋したステップがあり水分の混入が最終産物NK0070 までの合成が進まない過程を改善するなど時間を要す結果となったことによる。また、最終合成産物に酢酸エチルが3.7%混入しており、減圧濃縮操作を回収率に安全を期すため減圧乾燥を控えたためであった。試験的に2.5グラム分のNK0070、1本を室温にて4日間減圧乾燥し安全に0.7% 残留濃度を減らすことができ良質の純度の高いNK0070 を得ることができた。過去のNK0070 を調べると純度が低下し分解で相当すすんでいることも確認できた。第二に、藤田保健衛生大学長尾静子教授において、PCK ラットへの15週間の長期投与実験を頂く予定であり、化合物はすでに長尾教授へ昨年12月にお渡し、現在、投与予定PCKラットの良好なものの準備中にある。なお、今回NK0070 化合物に残留する酢酸エチル3.7%があることについて長尾先生と検討頂いた。対策として、対照群にアラビアゴムを投与するがそこへ残留する酢酸エチル3.7%を加えて投与実験を行うこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ベンゾイソフラノン誘導体低分子化合物の合成に平成28年6月から平成29年2月まで要した。しかし、幸いに今回の合成により純度高いものがえられ、これからの動物実験と試験管内実験に期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、純度の高いNK0070 を得ることができたので、第一に、PCKラットへの長期投与実験を行う。PCK ラットへNK0070:30mg/kg/day、皮下注を生後5週から20週までの15週間の長期投与実験を行う。対照群には酢酸エチル3.7% を加えて投与する。多発性嚢胞腎の進展進行がどの程度を軽減できたかを病理形態学的に評価する。第二に、in vitro実験として、ラットマクロファージ培養細胞株を用いガンマーインターフェロン刺激のもとでNK0070化合物を添加し、腎血管保護に関わるGalectin-3、HIF-1そして胎盤などの血管内膜細胞の維持や血管新生に関わるLTR-ERVのGag遺伝子;RTL1, MlanaのmRNA発現と、くわえて、DNAメチル化レベルの応答と同時にその調節に関わる酸素添加酵素 (TETenzymes)のmRNA 発現を測定する。第三に、提出腎の病理学的検討にくわえ、免疫病理学的病理学的解析:内在性レトロウイルスLTR-ERV, Gag 遺伝子のうち抗MART1抗体(US Biological Life Science 社、Cat.no. 172124-AF-AP)、抗RTL1抗体(Biorbyt社、Cat.no. orb185997)、抗5-hydroxymethylcytosine抗体(Active Motif社、Cat.no. 39791)につき予備検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度へ繰り越しとなった理由は、ベンゾイソフラノン誘導体NK0070 合成の完成が平成29年度1月末であったため、動物実験とin vitro の実験開始が次年度になったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PCKラットへの長期投与実験のための費用と試験内費用となる。
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