2017 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージの内在性レトロウイルス応答調節と血管保護による多発性嚢胞腎進展抑制
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16K11058
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
石橋 道男 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40107032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東原 英二 杏林大学, 医学部, 教授 (00092312)
長尾 静子 藤田保健衛生大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (20183527)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多発性嚢胞腎 / 内在性レトロウイルス / pericyte / NG2 / ベンゾイソフラノン誘導体 / CD31 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果として、第48回日本腎臓学会東部学術大会(平成30年10月20-21日、東京)にて発表予定でありその抄録を以下に記す。 一般演題:多発性嚢胞腎ラットへの低分子化合物NK0070投与によるNG2pericyte マーカーの温存と腎病変、石橋道男(1)、釘田雅則(2)、熊本海生航(2)、吉村 文(あや)(2)、藤本清秀(1)、東原英二(3)、長尾静子(2)(1)奈良県立医科大学泌尿器科、(2)藤田保健衛生大学疾患モデル教育研究施設、(3)杏林大学医学部遺伝性腎疾患研究室 目的:腎髄質内のDescending Vasa Recta(DVR)に局在する pericyte に腎髄質血流温存の役割が示唆されている。PCK多発性嚢胞腎ラットでは髄質集合管由来嚢胞が初期に発生し全域に達する。低分子ベンゾイソフラノン化合物NK0070の投与によるpericyte マーカーNG2温存効果と内皮細胞マーカーCD31の発現応答につき報告する。対象と方法:PCKラットを治療群と対照群にわけ5週令から5週間投与各3例と16週間投与21週令各3例を対象とした。免疫染色にはNG2抗体(ab129051)、CD31抗体(ab64543)を用いた。結果:21週令時の体重、腎重量は治療群が増加した。治療群では乳頭起始部から髄質部でのDVRにNG2陽性細胞が維持され近接してCD31がほぼ全周性に発現したが対照群ではNG2の減少消失しCD31染色は部分的であった。治療群では同部位の尿細管とDVRの構造は維持され対照群では萎縮を呈した。10週令でHIF-1mRNA発現は抑制されていた。結語:pericyteマーカーNG2の維持により多発性嚢胞腎の尿細管とDVRの病変進行を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題が、マクロファージの内在性レトロウイルス応答調節と血管保護による多発性嚢胞腎進展抑制である。多発性嚢胞腎のラットモデルであるPCKラットに対するベンゾイソフラノン誘導体NK0070 を16週間長期投与実験を行い、多発性嚢胞腎病変の進行における髄質血管、descending vasa recta 病変の保護効果が観察された。その作用として周細胞、pricyte の機能温存がNG2 の発現増強を介して毛細血管内膜も温存されている可能性を考えている。内在性レトロウイルスの発現がpericyte にみられるかが関心のあるところでまだ、実施されていない点が残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題が、マクロファージの内在性レトロウイルス応答調節と血管保護による多発性嚢胞腎進展抑制である。多発性嚢胞腎のラットモデルであるPCKラットに対するベンゾイソフラノン誘導体NK0070 を16週間長期投与実験を行い、多発性嚢胞腎病変の進行における髄質血管、descending vasa recta 病変の保護効果が観察された。その作用として周細胞、pricyte の機能温存がNG2 の発現増強を介して毛細血管内膜も温存されている可能性を考えている。内在性レトロウイルスの発現がpericyte にみられるかが関心のあるところでまだ、実施されていない点が残されている。最終年度に免疫染色にて検討予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度に、1)腎臓髄質の descending versa recta に局在する pericyte のマーカーを免疫病理により同定すること、2) 内在性レトロウイルスの潜伏状態から再活性化につき in vitro での解析を行うこととした。平成30年度の最終年度に継続して実施するために、残り30万円を確保した。
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