2017 Fiscal Year Research-status Report
子宮体部病変に対する極細複合型光ファイバー内視鏡診断と治療法の確立
Project/Area Number |
16K11149
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
重富 洋志 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (20433336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
川口 龍二 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50382289)
岡 潔 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 量子生命科学研究部, 上席研究員(定常) (80354661)
関 健史 秋田大学, 工学資源学部, 助教 (80565317)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子宮体癌 / ファイバー内視鏡 / レーザー照射 |
Outline of Annual Research Achievements |
複合型光ファイバースコープを用い、摘出された子宮に対するファイバーの挿入・観察・レーザー照射試験を行った。スコープ映像は 、子宮底部から卵管開口部、子宮頚管内の画像も鮮明で、腫瘍性病変についても確認できた。またレーザー照射では子宮内膜を焼灼す ることが可能であった。子宮内膜を直接観察する方法として現在、子宮鏡が用いられている。しかし、子宮腔内は狭く内膜の出血をき たしやすいため、子宮鏡は消化管の内視鏡ほど観察しやすくなく、あまり有用とはいえない。子宮体癌の1次検査(細胞診)、2次検査 (組織診)ともに検体の採取に盲目的な操作が必要で、直視下の検査が可能な子宮頸癌と比べて検診の有効性が低い原因となっている 。早期発見と直視下の治療を可能とする新しいシステムの開発は喫緊の課題である。現時点で14症例の子宮内観察とレーザー焼灼実験 を行った。基礎実験と同様に子宮内画像は鮮明で腫瘍、ポリープなどの病変についても確認できた。またレーザー照射は、範囲はまだ 小さいものの直視下に焼灼可能であった。 また、摘出した子宮の内膜から5 mmの距離で一定の条件でレーザーを照射する基礎実験を行っている。レーザー照射時間は、2秒、5秒、10秒で5、10、20ワットの出力を組み合わせた。鶏肉を用いた基礎実験により5秒、10ワットで5 mmの深さまで焼灼することができた。さらに焼灼した部分の組織切片を作成し、その範囲・深達度を病理学的に確認し、子宮腔内の病変を安全に破壊、壊死できる方法と至適条件について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摘出した子宮を用いて生体外でレーザーの照射条件と組織の破壊・壊死の程度についての検討を行ない、生体内で安全に使用することのできる条件を設定を行った。 子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮脱、初期子宮体がんのために摘出された子宮を37度の生理食塩水で満たした恒温槽につけて固定し、37度の生理食塩水で子宮腔内を還流しながら同時に低侵襲レーザー治療システム内視鏡を挿入し、観察を行った。観察する項目は、子宮腔内の広がり、子宮腔内病変(位置,形状,数,色調,推定診断)、奇形、異物の有無である。やや操作手技に慣れが必要であるが、子宮鏡検査と比較して遜色ない画像を取得可能であった。 摘出した子宮の内膜から5 mmの距離で一定の条件でレーザーを照射する。レーザー照射時間は、2秒、5秒、10秒で5、10、20ワットの出力を組み合わせる。鶏肉を用いた基礎実験により5秒、10ワットで5 mmの深さまで焼灼することができた。さらに焼灼した部分の組織切片を作成し、その範囲・深達度を病理学的に確認し、子宮腔内の病変を安全に破壊、壊死できる方法と至適条件について検討を行っている。 臨床試験として同意を得た上で、実際の子宮体部病変が疑われる患者に従来の子宮鏡検査の代替としてファイバー挿入を外来で行い、観察を行っている。症例を蓄積中ではあるが、従来の子宮鏡検査と遜色ない観察が可能であり、苦痛の軽減も得られている印象である。
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Strategy for Future Research Activity |
摘出した子宮を用いて生体外でレーザーの照射条件と組織の破壊・壊死の程度についての検討は、子宮腔内の病変を安全に破壊・壊死できる方法と至適条件の検討をさらに進めていく。 また、子宮鏡の代替としてのファイバーでの観察を、更に症例の蓄積を進めていく。 観察だけでなくレーザーについでも安全な出力、照射時間の検討が完了次第、実用段階に向けて臨床試験を検討中である。
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Causes of Carryover |
(理由) 前年度に行う予定であった、基礎実験として子宮腔内の病変を安全に破壊、壊死できる方法と至適条件について検討摘出した子宮の内膜から5 mmの距離で一定の条件でレーザーを照射する実験を次年度も継続させるため。 (使用計画) 基礎実験に際しての物品代や機器のリース代として使用する。
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Research Products
(1 results)