2016 Fiscal Year Research-status Report
GPIアンカー型蛋白質(CD24)のラフト形成と化学療法抵抗性のメカニズム解析
Project/Area Number |
16K11165
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
田中 良道 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10625502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 正美 大阪医科大学, 医学部, 講師 (00551748)
大道 正英 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10283764)
恒遠 啓示 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70388255)
田辺 晃子 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70454543)
佐々木 浩 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80432491)
寺井 義人 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90278531)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 婦人科癌 / EMT / CD24 / ラフト形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
婦人科癌の中でも白金製剤抵抗性卵巣癌やtype2子宮内膜癌(類内膜腺癌G3や漿液性腺癌、明細胞腺癌など)は予後が著しく悪いが、その原因として癌の浸潤・転移能の高さや化学療法抵抗性がある。我々は従来より婦人科癌の浸潤・転移の制御や化学療法抵抗性癌の治療に向けた研究に注目してきた。卵巣癌において、生存シグナルであるERK経路とAkt経路およびその下流の転写因子Nuclear Factor κB (NFκB)が白金製剤の耐性に関わる重要な分子であることを明らかにし、さらにAktの活性化が重要な予後因子である事を臨床病理学的にも確かめ、白金製剤の耐性化に関与するAktおよびERK両経路をブロックすると、卵巣癌の白金製剤への耐性性が解除され感受性が高まることにより転移病巣や再発病巣での治療効果が上がることを明らかにしてきた。また我々は子宮内膜癌においてCD24高発現が組織型や分化度、予後と有意に相関する事や、EMTを介した浸潤・転移と相関していることを明らかにしてきた。しかしながらCD24発現と化学療法抵抗性や癌幹細胞との関連を示唆する報告はみられるもののその機序は全く不明である。このシグナルには我々が研究してきた癌の増殖・生存にかかわるIGF-1/PI3K/Aktシグナルなどが報告されており、これらの機構を解明する事は癌の生物学的特性を解明する事につながる。我々はFACS sorting systemを用いて子宮内膜癌細胞株(hec1A、hec108)をCD24陽性細胞と陰性細胞へと分離することに成功しているが、CD24陽性細胞は陰性細胞と比較して生存や増殖シグナルに必要なMET、Akt、ERKのリン酸化が見られる事を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りの実験が遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮内膜癌細胞株・卵巣癌細胞株へCD24の遺伝子導入を行い、検討した薬剤耐性因子やMETシグナル、Akt、ERKに変化が見られるかどうかを検討する。さらにsiRNAで抑制されるかを確認する。またCD24で分離した細胞をNOD/SCIDマウスへ皮下移植し、両群間でのシスプラチン投与による化学療法の効果の差を解析する。GPI アンカー型蛋白質であるCD24で、lipid raft形成能を評価するべくsucrose gradient assayを行う。特にpMETのリクルートメントについての評価を行いCD24とMETシグナルとの関連性を明らかにする。
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