2017 Fiscal Year Research-status Report
GPIアンカー型蛋白質(CD24)のラフト形成と化学療法抵抗性のメカニズム解析
Project/Area Number |
16K11165
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
田中 良道 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10625502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 正美 大阪医科大学, 医学部, 講師 (00551748)
大道 正英 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10283764)
恒遠 啓示 大阪医科大学, 医学部, 助手 (70388255)
田辺 晃子 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70454543)
佐々木 浩 大阪医科大学, 医学部, 助教 (80432491)
寺井 義人 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90278531)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 婦人科悪性腫瘍 / EMT / CD24 / GPIアンカー型タンパク質 / ラフト形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年癌細胞の浸潤・転移過程において上皮間葉形態転換(Epithelial-Mesenchymal Transition) が注目されているが、このEMT現象が子宮内膜癌において重要な予後因子となる事を報告した。またEMTを起こす細胞は強い自己複製能と腫瘍形成能を有し薬剤に耐性を示すことが明らかとなりつつあるが、我々はEMTの有用な表面マーカーとして、乳癌、膵臓癌で癌幹細胞のマーカーとしても注目されているCD24に着目してきた。CD24は分子量35-45KDaのグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型シアロ糖タンパクで、細胞表面に存在しさまざまな癌種で過剰発現が予後悪化因子であると報告されている。我々は、GPIアンカー型蛋白質の一つであるCD24発現が癌の浸潤・転移やEMT(上皮間葉転換)現象、化学療法抵抗性と強く相関している事を見出した。特に卵巣癌において、CD24がAkt経路、ERK経路を通じてEMT(上皮間葉転換)現象を制御し、浸潤、転移に深くかかわっている可能性を見出し報告した。GPIアンカー型蛋白質はラフト形成を通してシグナルを細胞内へ伝達している事が徐々に明らかなとなっているがその機序は未だに不明である。そこで今後はGPIアンカー型蛋白質(CD24)のラフト形成とそこでリクルートされる細胞内シグナル分子を同定し化学療法抵抗性のメカニズムの一旦を明らかにしていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は子宮内膜癌、卵巣癌においてCD24がEMT現象を介して浸潤、転移に深くかかわっている事を見出した。またCD24高発現群は予後不良であり化学療法抵抗性である事を示した。ここまでは当初の予定通り計画が進んでいる。今後は化学療法抵抗性にGPIアンカー型タンパク質がどのようにかかわっているのかを明らかにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
GPIアンカーは細胞膜に存在する蛋白質(例:CD24)を細胞膜の正しい位置につなぎとめる碇の役割を果たす蛋白質である。近年の研究からGPIアンカー型蛋白質にリガンドが結合するとオンデマンドで細胞膜上にlipid raftが形成され、このraftに細胞質内のシグナル分子がリクルートされる事が徐々に明らかとなってきた。このlipid raftには特定の脂質のみならず様々な蛋白質(Gタンパク質、プロテインキナーゼ、イオンチャネルなど)が集積する事が報告されており細胞外からの刺激を細胞内へ伝えるシグナル伝達の場として機能している事が推察される。そこでGPIアンカー型蛋白質であるCD24のlipid raft形成と、そこでリクルートされる細胞内シグナル分子を同定し、化学療法抵抗性のメカニズムの一旦を解明したいと考えている。
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