2017 Fiscal Year Research-status Report
脱分化脂肪細胞による組織増量と耳管組織リモデリング―耳管障害の新治療戦略―
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16K11199
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大島 猛史 日本大学, 医学部, 教授 (40241608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 洋海 日本大学, 医学部, 准教授 (00451328)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 耳管開放症 |
Outline of Annual Research Achievements |
脱分化脂肪細胞(DFAT)は遺伝子操作やウイルスベクターを用いない簡便な方法で短時間に大量調整が可能であり、ドナー年齢や基礎疾患を問わずに調整でき、がん化する可能性も低く安全性が高いことから、再生医療用ドナー細胞として早期の臨床応用が期待されている。すでに重度熱傷、難治性腹圧性尿失禁、難治性骨折などに対する細胞治療、GVHD予防などの研究が進められている。DFATはiPS細胞と比較してコストが安く、今後の臨床応用を考慮すると医療経済的に優位な再生医療資源であるといえる。 本研究はDFATを耳管粘膜下に移植することによりその組織増量効果および組織修復、リモデリング作用を利用した耳管閉鎖障害の治療法を確立するために開始された。 これまで耳管閉鎖障害については信頼のおける適切なモデル動物が存在しなかった。そのため、本研究ではモデル動物の確立から行うこととなったが、本研究年度では研究初年度に作製した8個体の耳管閉鎖障害モデル動物を生理学的に解析し、受動的耳管開大圧などの有意な低下をきたすことを第27回日本耳科学会(平成29年11月、横浜市)で学会発表することができた。この時点では形態学的評価は報告しなかったが、神経切断による筋萎縮、そして、耳管径の拡大を形態学的に検証するための研究が進行中である。 ラットDFATの耳管組織への移植の段階に入るが、細径内視鏡を用いた注入方法を検証し、一定の成果を得たが、さらに効率的に行う方法を模索中である。 臨床的には耳管閉鎖障害のデータ解析を並行して行い、第118回日本耳鼻咽喉科学会(平成29年5月、広島市)、第27回日本耳科学会(平成29年11月、横浜市)、第28回日本頭頸部外科学会(平成30年1月、宇都宮市)、31st Politzer Society Meeting(平成30年2月、スペイン)でその成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットを用いて、耳管閉鎖障害モデルの作製を行い、生理学的データからその妥当性を検証することができている。これに関しては第27回日本耳科学会(平成29年11月、横浜市)で学会発表(原田、他:下顎神経切断による耳管開放症モデルラット確立の試み)を行った。生理学的データに加え、さらに神経切断による筋萎縮、そして、耳管径の拡大を形態学的に証明するための研究が進行中である。筋萎縮についてはヒトでは外側翼突筋、口蓋帆張筋の萎縮がみられるが、今回のモデルラットでは口蓋帆張筋の萎縮が不明瞭であった。その原因について種差によるものか、手術法の何らかの問題があるのか検証を行っていることも研究の進捗状況に影響を与えている。 なお、ラット耳管咽頭口への細胞移植の手法について試行錯誤を繰り返しているが、おおむねめどをつけることができている。ただし、手術用の内視鏡機材が使用できない状況があったため、現在、代替え案を模索している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)三叉神経切断による耳管閉鎖障害モデル動物の作製個体を増やす。また、DFATの移植の予備的実験を可及的速やかに行う。なお、モデル動物作製の段階でいったん研究成果を英文論文で報告する。 (2)ラット用の手術器材が一時的に使用不能(製造上の何らかのトラブルとのこと)になっているため、それが長期化するようであれば別の機材の利用を検討するか、あるいは、ラットでの移植を断念して今後はより大型の動物(ミニブタ)による研究も考慮しなければならない。ただし、ミニブタでは移植に用いるDFATの標識方法をラットとは異なる方式で行う必要が出てくる。 (3)前年度と同様に並行して臨床データの蓄積、解析を行い、多方面から本研究計画を検討する。これまで臨床データの登録は583例(2018年3月現在)となったが、さらに自覚症状スコア、音響耳管法の音圧データをさらに加えることにより耳管障害の臨床的問題点をより明瞭にするとともにDFAT移植の臨床的重要性、意義をさらに明確化する。
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Causes of Carryover |
進捗状況に記載したとおり、本年度はモデル動物の作製、およびその検証に多くの時間が費やされることになり、DFAT移植を行う実験段階まで至らなかった。ただし、DFAT移植の予備的段階の検討は行っているため今後はすみやかに実際のDFAT移植に進むことができると考えている。これまでの段階では既存の器械、設備での対応が可能であったため新規に動物手術器械の購入をしなかった。そのため、DFAT移植に関する実験費用が発生しなかった。 すでにモデル動物、細胞注入法は確立したので、次年度はすみやかにDFAT移植に進むことができる。30年度に予定されている移植実験まで行うことができると考えている。そのため、手術器材(微細径内視鏡)の購入も考慮している。
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Research Products
(8 results)