2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11309
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
仁科 幸子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 感覚器・形態外科部, 医師 (40237954)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 周期性斜視 / エクソン解析 / ゼブラフィッシュ / 概日リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、国立成育医療研究センター眼科で診療活動を行い、多様な難治性眼疾患に遭遇する機会が多い。周期性斜視とは、斜視の日と斜視のない日が周期的に交代する特殊な斜視であり、原因は不明である。本研究では周期性斜視の遺伝的要因の同定を目的とした。これまでに5歳と10歳の女児2例のゲノム解析を行い、エクソン領域に点変異を見出している。それぞれの家族(5歳児の父母および10歳児の父母)のエクソン解析を行い、見出された点変異が本人のみ有する遺伝子変異か父母のいずれかが有する変異であるかを検討する。さらに、ゼブラフィッシュを用いた候補遺伝子の機能解析を行う。 平成29年度は、それぞれの家族(5歳児の父母および10歳児の父母)のエクソーム解析を進めた。ゲノム解析の結果からは、複数の候補遺伝子が同定された。現在、これらの解析が進行中である。また、新たな症例―4歳女児(周期性内斜視)及び家族のエクソーム解析を行っている。遺伝的要因を分析する一方、当センターで治療を行った周期性斜視7例の臨床像について、発症年齢・形式、誘因、進行経過、治療経過、併発症、全身疾患、家族歴、人種差などについて、詳細な解析を進めている。 さらに、候補遺伝子を評価系としてゼブラフィッシュの行動解析系を確立した。赤外線を利用した行動解析装置Danio Vi sionを用いた。その結果、複数個体を同時に測定し、野性型ゼブラフィッシュの昼夜の概日リズムを解析できた。また、時計因子PerやCryをコードする遺伝子をCRSPR-Cas9法で遺伝子破壊実験を行い、これらの欠損変異体を作出した。行動を測定したところ、異常を示すこと、行動量が低下することが判明した。これらの結果は、PerやCryが概日リズムや行動量の制御に重要であることを示唆する。現在、研究成果を英文原著論文にまとめ、投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定計画通り進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
さまざま周期性斜視の臨床像を解析し、遺伝的要因の関与について分析する。また、確立されたゼブラフィッシュ行動解析系を用いて、時計遺伝子の影響を評価検討する。患者のゲノム解析から同定された複数の候補遺伝子の数を選択し、遺伝子破壊実験に進めるようにする。
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Causes of Carryover |
主治医としての緊急業務が生じたため、予定していた国際学会の出席を取りやめた。その結果、計上していた旅費の使用が無くなった。次年度使用額は国際学会の旅費に使用を計画している。
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