2016 Fiscal Year Research-status Report
重症外傷患者における血管内皮障害と免疫応答メカニズムの解明
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16K11401
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大須賀 章倫 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (60552081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 弘毅 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30609590)
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50196474)
清水 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379203)
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70301265)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グリコカリクス / 熱傷 / 血管内皮障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに、51例の患者様が来院し49名の患者様またはご家族から同意を得られた。患者背景および熱傷の重症度を記録した。グリコカリクス破綻のマーカーとしてsyndecan-1を経時的に計測するとともに、他の血管内皮障害マーカーとしてトロンボモデュリン・PAI-1・AT IIIを測定した。その結果以下の点が明らかになった。1.重傷熱傷患者においてグリコカリクスが破綻し輸液量と相関すること、2.血管内皮障害は熱傷の重症度に相関するが、グリコカリクスの破綻は年齢と相関すること、3.グリコカリクスの破綻は熱傷起因のコンパートメント症候群の発生に関連するが、現在のところ生命予後との関連性は明らかでないことが解明された。グリコカリクスの破綻が体液シフトの結果としての蘇生輸液量の増加と関連していることは仮説通りであったが、重症度ではなく、年齢に相関するという事実は我々の知る限り世界的に報告がない。さらに腸細胞障害マーカーとしてI-FABPを経時的に測定したところ、腸管ダメージは深達性熱傷の面積と相関し、多臓器不全の進行にかかわりがあることが分かった。本件はすでにBurns雑誌にアクセプトされた。 グリコカリクス破綻に関しては第44回日本救急医学会総会で発表し、現在第76回米国外傷学会に演題登録するとともに論文作成中である。インフラマソーム、制御性T細胞に関するデータも集積されており、現在解析中である。さらにサイトカインのプロファイリングに関して米国集中治療学会で発表し論文作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人におけるデータの集積および解析はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
グリコカリクスの破綻が重傷熱傷患者において確認されたため、本年度以降はマウス熱傷モデルを用いて薬物治療の有効性を確認していく予定である。また、インフラマソーム、制御性T細胞、サイトカインに関するデータ解析および論文作成を進めていく。
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Causes of Carryover |
国際学会への出席はしなかったこと。残っていた試薬や資機材を使用したため節約できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は研究成果を国際学会での発表および紙上発表を予定しているため、そちらに使用する予定である。
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Research Products
(4 results)