2016 Fiscal Year Research-status Report
新規3-スチリルクロモン誘導体の口腔癌治療薬としての可能性に関する基礎研究
Project/Area Number |
16K11519
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
坂上 宏 明海大学, 歯学部, 教授 (50138484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 義昭 城西大学, 薬学部, 教授 (20255029)
友村 美根子 明海大学, 総合教育センター, 教授 (30217559)
杉本 昌弘 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任准教授 (30458963)
須永 克佳 城西大学, 薬学部, 准教授 (70236040)
高尾 浩一 城西大学, 薬学部, 助教 (70337484)
植沢 芳広 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (90322528)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 3-スチリルクロモン類 / ヒト口腔扁平上皮癌 / 選択毒性 / 有機合成 / 作用機序 / 副作用の緩和 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規3-スチリルクロモン誘導体の副作用を検討するために、ヒト口腔正常細胞、すなわち、口腔粘膜上皮細胞(HOK)および歯肉上皮前駆細胞(HGEP)に対する傷害性を、代表的な抗癌剤と比較検討した。トポイソメラーゼ1阻害薬(CPT、SN-38)、トポイソメラーゼII阻害薬(DXR, DNR)、微小管阻害薬(DOC)、チロシンキナーゼ阻害薬(Gefitinib)などの抗癌剤は、ヒト口腔間葉系細胞(歯肉線維芽細胞, 歯根膜線維芽細胞、歯髄細胞)と比較してヒト口腔扁平上皮癌細胞(歯肉由来Ca9-22, 舌由来HSC-2, HSC-3, HSC-4)に対して強い細胞傷害活性、すなわち、高い腫瘍選択性を示した(TS=>1853,>997,70, 55,>2708,4)。しかし、これらの抗がん剤は、いずれも正常ヒト口腔上皮系細胞(HOK、HGEP)に対して強い傷害性を示すことが見いだされ、腫瘍選択性は低下した(TS=>33, <12, 2, <2. >2,4, 0.2)。一方、新規3-スチリルクロモン誘導体は、高いTS値を示した(>200)。代表的な抗癌剤のDXRは、HOK細胞にアポトーシス(微絨膜の消失、クロマチンの凝集、カスパーゼの活性化)を誘導した。 3-styryl-2H-chromenes誘導体誘導体のうち、クロメン環の7位の位置にメトキシ基、スチリル部フェニル基の4位に塩素を置換した誘導体[12]は高い腫瘍選択性を示した(TS=57.6)。 16種の3-benzylidenechromanone誘導体の細胞傷害活性と腫瘍選択性のQSAR解析を行ったところ、クロマノン環の7位のメトキシ基、ベンゼン環の4'の水酸基あるいはメトキシ基を有する化合物は、ドキソルビシンや5-FUを凌ぐ、高いTS値を示した。分子形、大きさ、極性が腫瘍選択性に関与していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔正常細胞の中では、ケラチノサイト(ヒト口腔粘膜上皮細胞やヒト歯肉線維芽細胞)は、間葉系細胞(歯肉線維芽細胞、歯根膜線維細胞、歯髄細胞)に対して、強い細胞傷害作用を示すこと、そして、そのmechanismには、アポーシスの誘導が関与していることを明らかにした。しかしながら、本研究の主題である新規3-スチリルクロモン誘導体の合成(クロモン環への置換基の導入)が効率的に進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞傷害活性と腫瘍選択性のQSAR解析をもとに、高い腫瘍選択性、低いケラチノサイト毒性を有する化合物の構造を予測し、合成と検証を行うことにより、新規抗癌剤を創製する。そのために、計算の実行に必須であるハードウェア環境を構築する。
クロモンは、ベンゾピランの誘導体で、ピラン環にケトン基が置換している。ケトン基がない類似化合物や異性体についても同様に置換基を導入して、腫瘍選択性について検討する。
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Causes of Carryover |
分担研究者の植沢芳広が、計算の実行に必須であるハードウェア環境を構築するため、配分額20万円を次年度に繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分担研究者の植沢芳広が、ワークステーションPC WA9J-A81/XT 27万円)を購入する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Quantitative structure-cytotoxicity relationship of chalcones.2017
Author(s)
Sakagami H, Masuda Y, Tomomura M, Yokose S, Uesawa Y, Ikezoe N, Asahara D, Takao K, Kanamoto T, Terakubo S, Kagaya H, Nakashima H and Sugita Y
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Journal Title
Anticancer Research
Volume: 37
Pages: 1091-1098
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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