2016 Fiscal Year Research-status Report
歯科用コーンビームCTの患者線量推定プログラムの作成
Project/Area Number |
16K11528
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 健児 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (50130670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅海 利恵子 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (30548243)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯科用コーンビームCT / 面積線量 / 実効線量 / 変換係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景と目的】ICRPは、放射線診断における患者防護の最適化を促進するため、診断参考レベル(DRL)の利用を勧告しており、歯科用コーンビームCT(CBCT)のDRL線量の一つとして面積線量(DAP)が用いられている。また歯科用CBCT撮影時の患者実効線量Eが推定できるならば、他のモダリティや自然放射線等による被曝レベルと比較検討が出来、最適化の一助となる。そこで、歯科用CBCT撮影時におけるEを推定するプログラムを作成することを目的とし、今年度はDAPから患者のEを推定できる換算係数E_DAPを評価した。 【線量測定】今年度は、プロトタイプCBCTを含む4台の歯科用CBCTについて、DAPを半導体線量計とIP、および面積線量計によって測定した。 【文献検索】文献に報告されているRANDOファントムとTLD素子などによるE、およびこれに対して撮影条件が一致する実測DAPからE_DAPを評価した。EはICRP 2007年報告の組織加重係数を考慮している。 【結果と考察】調査した22件の文献で取扱われている装置数は延べ42台、報告されているEは153であり、その内実測DAPと同じ撮影条件のデータ数は67であった。DAPは最小90 mGycm^2、最大7134 mGycm^2、中央値361 mGycm^2、平均984mGycm^2、およびEは最小16μSv、最大680μSv、中央値53μSv、平均125μSvであった。結果、E_DAPは0.106 μSv/(mGycm^2)となった。JJ Morantら(2013年)はICRPのボクセルファントムによるモンテカルロ法によってDAPとEをシミュレーションした。その結果ではE_DAPは0.125 μSv/(mGycm^2)であり、今回の結果より約18%大きかったが、この理由として研究者によってファントム内の線量計設置位置の違いなどが考えれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、①DAPの測定をプロトコル装置1台を含む4台の歯科用CBCT装置について行ったが、変換係数E_DAPの精度を上げるために歯科用CBCT装置に種類と台数を増やす必要がある。
また、②線量-長さ積(DLP)からEを推定するための変換係数E_DLPを得るために必要なDLPの測定がほとんど行われていない。
さらに、③RANDOファントム等によるEに関する文献検索は22件であり、E_DAPおよびE_DLPの精度を上げるため文献検索数を増やす必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成29年度はの研究計画は、①平成28年度と同様にできる限り仕様の異なる歯科用CBCT装置の線量-長さ積(DLP)と面積線量(DAP)の測定および②患者実効線量(E)に関する文献検索を引き続き行い、③このことによって変換係数E_DAPおよびE_DLPの精度を上げる。
2.E、DAP、およびDLPを中心とした歯科用CBCTのデータベースそ作成するために以下のパラメータの情報も収集する。 (1)製作会社、(2)装置名、(3)製作年、(4)センサータイプ、(5)焦点サイズ(mm)、(6)総濾過(mmAl)、(7)管電圧(kV)、(8)管電流(mA)、(9)整流方式、(10)HVL(mmAl)、(11)FOV(φ×hight、mm)、(12)ボクセルサイズ(mm)、(13)照射時間(sec)、(14)回転角度(degree)、(15)焦点-センサー間距離(mm)、(16)焦点-回転中心間距離(mm)、(17)拡大率、(18)実効検出領域(mm^2)、(19)センサー上でのビームサイズ(成人と子供、width×height、mm)、(20)センサー上での空気カーマ(成人と子供、mGy)、(21)DAP(成人と子供、mGy cm^2)、(22)DLP(成人と子供、mGy cm)
3.EXELによる歯科用CBCTにおける患者線量推定プログラムの概要を作成する。
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