2016 Fiscal Year Research-status Report
高機能化カーボンナノホーンを応用した新たなGBR法の開発
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16K11579
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小松原 浩実 北海道大学, 大学病院, 助教 (50221247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究科, 教授 (20210627)
山本 悟 北海道大学, 歯学研究科, 助教 (10344524)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カーボンナノホーン / GBR法 / 骨誘導因子 / 線維芽細胞成長因子 / インプラント周囲炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工歯根を用いた欠損補綴(デンタルインプラント)は歯科の一分野としてその位置を確立している。しかし、デンタルインプラント治療後数年を経過した後に、インプラント周囲炎を引き起こし、それに伴うインプラント周囲骨の吸収により人工歯根の除去を余儀なくされる症例も少なくない。インプラント周囲炎に対する治療法の一つとしてguided bone regeneration(GBR法)による骨再生が挙げられるが、すべての症例で十分な成果が得られるとは限らない。本研究では、GBR法に骨誘導因子(rhBMP)や線維芽細胞成長因子(rhFGF-2)を担持した高機能化カーボンナノホーン(CNHs)を応用を目指している。本年度はGBR膜の作製および動物実験によるGBR膜の骨誘導能の確認を行った。 GBR膜の作製:①CNHs分散液にhBMPとFGF-2を加えた後、吸引濾過によりPTFE膜に固着させ、骨誘導能を有するGBR膜を作製した。 動物実験:ペントバルビタールによる全身麻酔下でラット腹腔内にGBR膜を埋入した。埋入後2週、4週でラットを屠殺し、骨欠損部GBR膜を含む組織を摘出し軟X線写真により解析を行った。また、同組織より脱灰組織標本を作製し、光学顕微鏡にて観察した。それらの結果、ラット腹腔内での異所性骨誘導が確認され、rhBMPrhFGF-2を担持したCNHsを固着させたGBR膜の骨誘導能を確認できた。 骨誘導能を有するGBR膜を開発できたことにより、インプラント周囲炎に対する有効かつ新たな治療法の一つとしてGBR法による骨再生法の実現への基礎が確立できた。 来年度は、CNHsに担持させるrhBMPとrhFGF-2の重量比を変化させたGBR膜を作製し、ラット頭頂骨を用いた実験に応用することにより、費用対効果も含め、より高機能なGBR膜の開発を目指し、さらには開発された骨誘導能を有するGBR膜インプラント周囲炎に伴う骨欠損部位への応用につなげる。それによりインプラント周囲炎で失われた骨組織のより確実な再生術が確立できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大型動物を用いた実験を行える動物実験施設の利用規約(主に使用料に関する部分)の改正と直接経費が申請額を下回ったことにより、犬顎骨へのインプラント埋入実験を断念せざるを得なくなり、実験計画の変更が必要となった。 実験計画の変更にあたり、ラットを用いた実験でより有用な方法を模索することに時間を要した。また、研究以外の業務の想定外の増加により研究に対して、申請時エフォートに相当する時間を確保できなかった。 以上2点の理由により、進捗状況は「やや遅れている」ものとなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
大型動物を用いた実験を行える動物実験施設の利用が困難となり、犬顎骨へのインプラント埋入実験を断念せざるを得なくなったため、研究計画を変更し、ラット頭頂骨を用いた実験までを行う。 上記実験により、骨誘導因子(rhBMP)や線維芽細胞成長因子(rhFGF-2)を担持した高機能化カーボンナノホーン(CNHs)を応用することにより開発した骨誘導能を有するGBR膜の骨再生能を明らかにする。
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Causes of Carryover |
大型動物を用いた実験を行える動物実験施設の利用規約(主に使用料に関する部分)の改正と直接経費が申請額を下回ったことにより、犬顎骨へのインプラント埋入実験を断念せざるを得なくなり、実験計画の変更が必要となった。 実験計画の変更にあたり、ラットを用いた実験でより有用な方法を模索することに時間を要した。また、研究以外の業務の想定外の増加により研究に対して、申請時エフォートに相当する時間を確保できなかった。 以上2点の理由により、本年度に予定していた実験のすべてを遂行することができず、一部の実施を次年度に持ち越さざるを得なくなってしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本来次年度に計画していた動物実験に加え、本年度から次年度に持ち越した動物実験をも遂行することで、その経費として使用していく。
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