2017 Fiscal Year Research-status Report
インプラントへの超親水性処理は軟組織接着に寄与できるか?
Project/Area Number |
16K11660
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
吉成 正雄 東京歯科大学, 歯学部, 客員教授 (10085839)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口腔インプラント / 生物学的封鎖 / 超親水性処理 / ラミニン332 / QCM / XPS |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラント周囲の生物学的封鎖を達成すべく、細胞接着を促進する表面処理法として「超親水性処理法」を採用し、軟組織接着に最も適した処理条件を探索することを目的とした。本年度は、チタンへの超親水性処理が、上皮細胞と接着・移動を促進する細胞接着性タンパク質ラミニン332の吸着特性に及ぼす影響、およびラミニン332の吸着メカニズムを明らかにする研究を行った。 1.超親水性処理:水晶発振子マイクロバランス法(QCM-D)用のチタン(Ti)センサー(直径13mm)に、紫外線処理:UV オゾンクリーナー(Ti-UV)(波長365 nm、254 nm、185 nm)および低温プラズマ処理(Ti-Plasma):大気圧プラズマ装置(最大出力150W)を施す。コントロールとして処理を施さない金(Au-Air)およびTiセンサー(Ti-Air)を用いる。 2.各処理試料に対するラミニン332の吸着特性を調査した結果、ラミニン332の吸着はAu-AirよりTi-Air上で増加した.また,全ての超親水性処理群(Ti-Plasma,Ti-UV)は無処理チタン(Ti-Air)よりラミニン332の特異的吸着量が増加した. 3.ラミニン332が吸着した表面を分析した結果,ラミニン332の吸着量が多かった群(Ti-Plasma,Ti-UV)は炭素(C)および窒素(N)量が増加し,カルボニル基,ペプチド結合に由来する官能基,およびカルボキシ基の増加が認められ,タンパク質の吸着であることが確認された.超親水性処理によりラミニン332の特異的吸着にはペプチド結合が関与していることが推察された. 以上の結果より,チタンへの超親水性処理はラミニン332の吸着を増進させることが予想され,ひいてはインプラント表面への上皮接着能を向上させる可能性があることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンパク質の吸着特性および動態解析はほぼ終了し、また上皮細胞、線維芽細胞の初期接着特性は検討された。 しかし、細胞分化マーカーの遺伝子発現、発現分布は十分に検討されていない。 さらに、インプラント埋入による動物試験は埋入が始まったばかりで、解析に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1.軟組織接着を達成する最適な表面処理方法を検討する。その際、上皮下結合組織および上皮組織に分けて解析する。 2.軟組織接着にはチェアーサイドにおいて短時間で達成することが必要なことから、短時間で処理できる方法・条件を探索する。 3.最適化された超親水処理をチタンおよびジルコニアで行い、臨床への応用方法を検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、細胞培養に要する消耗品および動物実験に要する消耗品を支出できなかったため。
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Research Products
(9 results)