2017 Fiscal Year Research-status Report
造血因子によるMedication-related顎骨壊死治療の検討
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16K11670
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉村 善隆 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (30230816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 漢忠 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (80180066)
菊入 崇 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10322819)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯学 / 薬剤関連顎骨壊死 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28度の実験から、抗がん剤によって骨髄抑制を行ったマウスに対して、さらに抗マウスRANKLモノクローナル抗体の投与を行った後に抜歯を行うと、MRONJ(Medication related osteonecrosis of the jaw)様症状を発症することを確認した。このMRONJ様症状を発症しているマウスの胸腺を調べたところ、抗がん剤を投与したのみのマウスの胸腺と比較して、萎縮していることが判明した。さらに、末梢血におけるヘルパーT細胞の分画に対してフローサイトメトリーを用いて解析したところ、ヘルパーT細胞の分画に異常があることが判明した。以上の実験結果から、MRONJ様症状の発症にはヘルパーT細胞の機能不全が関与している可能性が示唆されため、平成29年度の実験では、MRONJ様症状の発症機序にヘルパーT細胞がどのようい関与しているか明らかにする目的で、実験を行った。 平成29年度の実験では、萎縮した胸腺の構造について組織学的に解析を行った。MRONJ様症状を発症しているマウスの胸腺では、MRONJ様症状を発症していないマウスと比較して、胸腺皮質に対する胸腺髄質の割合が、優位に減少していた。胸腺髄質に対して、胸腺髄質上皮細胞(medullary thymic epithelial cell: mTEC)に対する免疫染色を行ったところ、mTECが喪失していた。mTECはヘルパーT細胞のレパートリー選択に重要な役割を果たしていることから、MRONJ様症状を発症したマウスの末梢血におけるヘルパーT細胞の分画異常は、mTECの消失によるものであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って順調に研究が進んでいる。さらに、研究計画書作成時と比較して新しい知見が得られており、今年度の実験を継続することでさらなる成果を上げられる可能性があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
MRONJ様症状において、胸腺髄質上皮細胞の喪失がどのような意味をもつのか、前年度の実験で得られた結果を基に、発症機序について更なる研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品費(消耗品費)においてキャンペーン品や特別価格などがあり、当初予定額より支出が抑えられ、経費の節約ができ、次年度使用額が生じた。 経費の節約により生じた未使用額295,765円については、平成30度の消耗品の購入に使用する。
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