2017 Fiscal Year Research-status Report
歯性感染症における異種細胞相互作用ならびに細胞極性調節因子と感染防御能の関連解析
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16K11692
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石畑 清秀 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (10437957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋 香織 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (10343526)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60217875)
小松澤 均 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90253088)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯原性上皮細胞 / 細胞極性 / 細菌感染 / 歯根嚢胞 / 口腔外科 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯牙の発生には,外胚葉(口腔粘膜上皮)と神経堤由来の中胚葉(外胚葉性間葉)との相互作用(上皮間葉相互作用)を通して,時間的・ 空間的に正確な細胞の増殖と細胞死の調節が行われ形態形成・細胞分化が進行すると言われている.従って歯性感染症発症時における上皮増殖・形成機構には,発生学的に性質の異なる歯原性上皮細胞と間葉系細胞が,互いに助け合いながら,2次バリアとしての裏装上皮形成の一役を担っている可能性が示唆される. 歯根嚢胞や歯根肉芽腫は歯原性上皮(残存上皮)が増殖する疾患の中で比較的発症頻度の高い疾患である.その発生は歯原性残存上皮であるマラッセ残存上皮の増殖に由来すると考えられているが,その発症機序,増殖機構に関しては未だ不明な点が多い.また,根管治療を施しても治療困難な程増大した歯根嚢胞に関しては歯根端切除術あるいは抜歯が余儀なくされ,近代に至っても歯牙の予後に多大な影響を与えている. そこで,歯根嚢胞上皮ならびに株化歯原性細胞から,細胞増殖や細胞極性に関連する物質の発現を確認し,それらの発現と嚢胞上皮形成との関連を検討することとし,歯根嚢胞摘出切片から,初代培養細胞を抽出し,細菌刺激による同細胞の動態変化を観察した.まず,今回抽出された細胞は,間葉系の性質を有した線維芽細胞様細胞であり,LPS刺激によって細胞免疫染色では間葉系マーカーの減弱が観察された. また,PCRによる遺伝子解析を行ったところ,上皮系マーカーの増加が確認された.今後,検証実験を重ね,タンパク発現についても観察していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摘出切片からの間葉系細胞の抽出については概ね計画通りに進行でき,複数回の実験遂行ができている. また,培地の変更等を重ね,上皮,間葉系の相互作用についても検証していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
1)PCR,real time PCRならびに免疫組織染色を用いて,病理学的に炎症病期で分類した摘出材料(歯根嚢胞上皮,歯根肉芽腫)からRho ファミリー(RhoA,RhoG,Rac,Cdc42)ならびに上皮系(E-cadherin)と間葉系(N-cadherin,Vimentin)マーカーの病期による局在を確認する. 2)細菌感染環境下における歯原性上皮・間葉系細胞のRho分子ならびに細胞性質解析株化細胞を単独もしくは共培養した状態に細菌感染を促し,real time PCR,細胞免疫染色を用いて,Rhoファミリー(RhoA,RhoG,Rac ,Cdc42) ならびに上皮系(E-cadherin)と間葉系(N-cadherin,Vimentin)マーカーの発現様式に変化がみられるか解析する.
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Causes of Carryover |
(理由) 今回,請求予定であった抗体試薬の購入が一部遅れ,次年度に繰越の形となってしまった.研究遂行自体は,研究協力者の研究室において遂行できているために研究の遅延理由にはなっていない. (使用計画) 付属品,試薬品の購入の検討を行い,速やかに助成金の遂行に当てる予定である. H29年8月までに助成金遂行を計画している.
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Research Products
(1 results)