2017 Fiscal Year Research-status Report
左室拡張能、圧受容体反射感受性とバイオマーカーによる術後心血管リスク因子の同定
Project/Area Number |
16K11756
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
糀谷 淳 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (60304325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 昌明 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (00347113)
山下 薫 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (50762613)
大野 幸 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, その他 (00535693)
遠矢 明菜 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (80593649)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 左室拡張障害 / 左室拡張機能 / 加速度脈波 / バイオマーカー / 急性ストレス反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身麻酔下に歯科・口腔外科手術を予定された患者で、高齢、高血圧症、糖尿病などの心血管リスク因子により、術前に循環器内科を対診し心エコー図検査を実施した患者を対象とした。手術前日、診察室血圧、指尖容積脈波とバイオマーカーの採血を行った。平成29年度は67例(男性41例、女性26例)のデータを得た。年齢68.1±11.8歳、BMI23.0±2.9 kg/m2。高血圧症を有する患者は47例(70.1%)、糖尿病26例(38.0%)、脂質異常症29例(45.3%)であった。心室の圧負荷を反映するBNPは21.9±36.2pg/mL(分布範囲5.8~262.8)であり、軽度の心不全を疑う≧40pg/mLの患者は10例(14.9%)、治療対象となる心不全を示唆する≧100pg/mLの患者は2例(3.0%)にみられた。NT-proBNPは157.3±316.7pg/mL(5~1779)であり、軽度の心不全を疑う≧125pg/mLの患者は13例(19.4%)、治療対象となる心不全を示唆する≧400pg/mLの患者は7例(10.1%)にみられた。心筋細胞障害マーカーである高感度心筋トロポニンT(hsTnT)は0.0095±0.0066pg/mL(0.003~0.034)であり、心筋障害が示唆される≧0.014pg/mLの患者は13例(19.4%)であった。高感度心筋トロポニンI(hsTnI)は7.1±12.9ng/mL(4~98.2、測定値4.0未満は4.0として処理)であり、心筋障害が示唆される≧26.2pg/mLの患者は2例(2.9%)にみられた。心エコー図検査の左室拡張能との関係では、hsTnTとhsTnIはともに僧帽弁輪移動速度(中隔と側壁の平均値)にきわめて良く相関した(R=0.49, 0.30)。歯科においても潜在的な心不全や微小心筋障害を有する患者が存在していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者の大野 幸が国内留学より復帰したことにより、術前診察時にバイオマーカー採血を行う体制ができた。平成29年度は67例(男性41例、女性26例)についてバイオマーカー値を得ており、歯科においても潜在的な心不全や微小心筋障害を有する患者がいることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き年間80例程度を目標にデータを収集する。心エコー図検査の左室拡張能との関係だけでなく、術後の循環器系合併症との関連も検討する。
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Causes of Carryover |
当科では主任教授の交代があり、昨年度はバイオマーカー採血を行う体制がとれなかったこと、今年度は海外での研究成果発表を行うことができなかったことによる。次年度は新たに大学院生が共同研究者に加わる予定であり、論文の投稿料も必要となるため、当初予定通りの支出を想定している。
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Research Products
(7 results)