2018 Fiscal Year Research-status Report
歯周病が高密度リポタンパク質の量と質に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
16K11862
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
林田 秀明 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (20238140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 俊行 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (10170515)
古堅 麗子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (90253674)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯周病 / LPS / 高密度リポ蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.血中脂質、歯周病の程度、歯周病関連細菌に対する血清抗体価およびその他の背景因子を用いた多変量解析で血清高密度リポタンパク質(HDL)と口腔および全身の健康度との関連性を検討した。血中脂質はHDLのほか、中性脂肪、低密度リポタンパク質、歯周病の程度は歯周ポケット深さ(PPD)、クリニカルアタッチメントレベル(CAL)、プロービング時の出血(BOP)、歯周病関連細菌Aggregatibacter actinomycetemcomitans、Eikenella corrodens、Porphyromonas gingivalis、Prevotella intermediaの4菌種に対する血清抗体価、年齢、肥満度、中性脂肪、血圧および喫煙習慣等の背景因子を解析に用いた。P. gingivalis抗体価はPPD、CAL、BOPと正の相関を示した。すなわち歯周病の悪化に伴ってP. gingivalisの感染レベルが上昇することを示した。HDLコレステロールはP. gingivalis抗体価、年齢、肥満度、中性脂肪、血圧および喫煙習慣が男性において有意な関連を示した。女性においてはHDLコレステロールと歯周病の程度および歯周病関連細菌に対する血清抗体価に有意な関連が認められなかった。これは女性において特有な因子がHDLコレステロール量に対して歯周病よりも大きな影響を与えている可能性を示唆している。 2.HDLのコレステロール取り込み能におけるP. gingivalis由来リポ多糖(LPS)の影響を調べるために、HDLにP. gingivalisLPSを混和した群(LPS処理群)とLPSを混和しなかった群(対照群)の2群で比較検討した。LPS処理群は対照群に比較して低下傾向が認められたが、統計学的な有意差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
P. gingivalisLPSにより誘導した歯周病態モデルによる血管内皮細胞および腸管上皮細胞の脂質代謝関連遺伝子の発現解析とHDLの抗酸化能に対するP. gingivalisLPSの影響について十分な解析結果が得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
P. gingivalisLPSにより誘導した歯周病態モデルによる血管内皮細胞や腸管上皮細胞の脂質代謝関連遺伝子の発現解析およびHDLの抗酸化能への影響を検討し、HDL合成および機能における歯周病の関与について明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)実験計画に遅延が生じ、解析に使用する予定の器具および試薬の購入を控えたため。 (使用計画)H30年度までの計画であった歯周病態モデルによる血管内皮細胞や腸管上皮細胞の脂質代謝関連遺伝子の発現解析およびHDLの抗酸化能の解析に使用予定である。
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