2017 Fiscal Year Research-status Report
オーラルフレイルの早期発見・早期改善は全身フレイルを阻止できるか
Project/Area Number |
16K11887
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉川 峰加 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 准教授 (00444688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栢下 淳 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (40312178)
津賀 一弘 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 教授 (60217289)
木村 浩彰 広島大学, 病院(医), 教授 (60363074)
吉田 光由 広島大学, 医歯薬学総合研究科(歯), 准教授 (50284211)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オーラルフレイル / サルコペニア / 高齢者 / 舌圧 / 栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
背景:本研究では,全身の機能と口腔機能との関連を横断調査で確認し,希望した者に栄養指導または口腔リハビリテーションを8週間実施することで,半年毎に平成31年秋まで全身・口腔機能に変化があるか否かを確認することを目的とした. 方法:対象者は自分の歯または義歯等で咬合の安定している41名(男性17名,女性24名,68-90歳)とした.全身疾患,服薬状況,日常生活に関する質問票,MMSE,EAT-10,MNA-SF,口腔機能評価としてディアドコキネシス,最長発声持続時間,3オンステスト,口腔湿潤度,咬合力検査,舌圧検査,咀嚼能率検査を実施した.また握力,歩行速度,膝伸展力を計測し,栄養調査とINBODYによる体組成調査を行った. 結果:協力者は皆高血圧等の全身疾患を有するものの自立して日常生活を送っていた.前向き調査へ参加できている者は,対照群18名(男性9名,女性9名),栄養指導群13名(男性6名,女性7名),口腔リハ群8名(男性3名,女性5名)であった.第一回目の調査結果より,MNA-SFで低栄養の疑いのあった者は8名(男性2名,女性6名),サルコペニアの者は7名(男性3名,女性4名)であった.これら低栄養やサルコペニアを呈する者は舌圧やEAT-10との相関が認められなかった.また舌圧が20kPa未満の者において,EAT-10 の錠剤服用困難感の項目で関連を認めた.加えて,女性において舌圧と膝伸展力に有意な相関を認めた. まとめ:本研究協力者は日常生活を自立して送る,健康に自信のある者が大多数であったものの,サルコペニアやオーラルフレイルを有する者が存在した.また栄養調査より,高齢者の栄養や運動に関する知識に偏りを認め,今後我が国の健康寿命延伸の上で,大きな課題が浮き彫りとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年11月に広島大学医学系研究(疫学)倫理審査委員会の許可を得た(第E-576号)後,12月より研究協力者の公募を始め,平成29年1月より調査を開始した. 平成30年4月末日までの協力者は41名(男性17名,女性24名,68-90歳)で,高血圧,高コレステロール血症,糖尿病,狭心症の既往等を有するものの,かかりつけ医・歯科医を持ち,日常生活を支障なく送る者であった.歯科に関しては,全員が摂食嚥下機能や構音機能に問題のないメンテナンス対象者であり,天然歯のみまたは義歯を有し,義歯を含めて咬合関係はアイヒナーA群であった.第1回の基本調査を実施し,詳細な結果を協力者本人に口頭ならびに書面にて説明した.上記41名中7名(男性3名,女性4名)がアジアのワーキンググループが作成したサルコペニア基準にてサルコペニアと診断された(Chen LK, et al., J Am Med Dir Assoc. 2014; 15(2): 95-101). 一方,日本老年歯科医学会が提唱する口腔機能低下症の診断基準(http://www.gerodontology.jp/committee/file/oralfunctiondeterioration_record.pdf)に当てはまった者は10名(男性7名,女性3名)で,舌口唇運動機能低下や低舌圧を示すものが多かった.上記サルコペニアとオーラルフレイルを両方有する者が1名(男性)存在した.41名のうち,2名が前向き調査への協力を拒否したため,現在39名の協力者が対照群18名(男性8名,女性10名),栄養指導群13名(男性6名,女性7名),口腔リハビリテーション群8名(男性3名,女5名)の3群へ分かれ,調査継続中である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も広島県・広島市歯科医師会の協力を仰ぎ,地域の介護予防教室や8020表彰式にて研究協力者を増員する予定である.
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Causes of Carryover |
研究協力者の協力日来院予定が変更になったため予定していた謝金を使い切ることができなかった.加えて,口腔機能評価に用いる検査物品のバージョン変更があり,同物品の購入が年度末に間に合わなかった.次年度使用額20,438円は平成30年度予算と合わせて,謝金ならびに検査物品購入として使用予定である.
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