2016 Fiscal Year Research-status Report
チーム基盤型学習法のアクティブ・ラーナー育成に対する効果検証
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16K11889
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三木 洋一郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80262476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (70241643)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | チーム基盤型学習法 / アクティブラーニング / アクティブラーナー / 学修成果 / 評価方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.九州大学歯学部はアクティブラーナー育成を推進することを柱としてカリキュラムを改定し、2~6年次にチーム基盤型学習法(TBL)の形式で行う授業を拡大導入した。本研究の一環として、小テストにより知識面、ピア評価により態度面に関する学修成果を迅速かつ正確に評価して学生にフィードバックできるようにするため、TBLに必須の小テストとピア評価をオンライン学習支援システム上で実施するICT環境を整備しつつある。今年度は比較的小規模なクラス(50名程度)でICT環境によるTBL授業の実施をほぼ確立した。 2.九大歯学部では毎年20前後の科目について授業評価アンケートをオンライン上で実施しており、授業時間外の学習時間を指標として学生のアクティブラーナーとしての自覚を測定している。これまでに延べ39科目についてアンケートを実施し、TBL授業とそれ以外の授業科目間、およびTBL授業へのICT導入前後について、アクティブラーナー育成に対する効果を検証するためのデータを蓄積しつつある。 3.H27年度に引き続き、九大歯学部卒業生のうち九州大学病院で臨床研修を行っている者を対象に、在学中に受けた教育に対する意識調査を行った。その結果、歯科医師になる上で、知識や技能ばかりでなく、問題解決能力やコミュニケーション能力、プロフェッショナリズムに対する意識等が重要であり、これらを育成する教育の必要性を認識している意見が多数見られた。 4.TBLに関する国際学会(3月初旬、米国フロリダ州)に参加して様々な領域の教育者と意見交換し、TBLの実践と研究が進んでいる北米を中心とする国外の動向、特にアクティブラーナーとしての評価指標に関する研究成果について多角的な情報収集を行うことができた。これらの情報を次年度以降の研究方策の検討に役立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アクティブラーナーとしての成熟度を客観的・定量的に測定する評価指標に関する国内の高等教育機関と対象にしたアンケート調査項目の精査を慎重に行ったため、調査実施を次年度に持ち越すこととした。一方、TBL授業のICT導入を重点的に進めた結果、比較的小規模なクラスで効率的かつ効果的に学修成果を測定する目途がつき、計画を上回る成果が得られた。よって、全体として見れば、ほぼ計画通りの進捗状況と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は、アクティブラーナーとしての成熟度を客観的・定量的に測る評価指標の絞り込みを重点的に行う。具体的には、今年度に引き続いて、国内の高等教育機関を対象にアクティブラーナーとしての成熟度を客観的・定量的に測定する評価指標に関するアンケート調査を実施し、有効な評価指標と推測される項目を抽出する。 これらを実際の学修成果の評価に使用して、被験者(学生)の当該学年で実施している授業科目の特性(授業でアクティブラーニングを実践している程度やその方略等)や学業成績との相関分析を行う。アクティブラーニングの実践度等との相関が高い評価指標を抽出し、以降の授業評価アンケートの評価項目として再利用する。以上のステップを繰り返すことで、有効な評価指標の絞り込みとリファインを行う。 この過程で、様々な形式の授業におけるアクティブラーナーとしての成熟度を比較し、TBLの効果に関する客観的・定量的な評価を行う。
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Causes of Carryover |
国内高等教育機関の教育関係者を対象にした聴き取り調査を実施せず、これに充てる予定であった旅費を次年度に持ち越すため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内高等教育機関の教育関係者を対象にした聴き取り調査を行うための旅費として使用する。
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